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カタカナ刺繍でプレー 車いすバスケ英代表

2021年9月7日 22:14
カタカナ刺繍でプレー 車いすバスケ英代表

5日に閉幕した東京パラリンピックで、車いすバスケットボール女子イギリス代表の車いすが話題になりました。車いすの背もたれの部分に「ローリー」や「エイミー」など選手のファーストネームがカタカナで刺繍されています。SNSでは「なんか親近感わいちゃう」「カタカナで名前が書いてあって可愛すぎ!」と反響の声が上がりました。

この車いすを提供しているのは岐阜県にある車いすメーカーの松永製作所です。1974年に創業し、介護用から競技用まで手がけ、藤本怜央選手や鳥海連志選手など日本のトップ選手も愛用する一流のメーカーです。

イギリス代表と契約する経緯について社長の松永紀之さんは「入札で募集するっていう話があり、応募しました。その当時イギリス代表は世界最高のスポーツ用車いすを作るといわれてるイギリスのメーカーのものを使っていたので、まさか当選するとは思っていませんでした」と振り返ります。

話題となったカタカナの刺繍も社員のアイデアでした。「イギリスからせっかく日本でやるので日本の皆さんにも応援してほしいと話がありました。名前が分かると名前呼んで声援を送ってくれるのではと思い選手全員のファーストネームを入れました。」この車いすにイギリスの選手たちも「クールでかわいい」と喜んでいたと言います。

そして、名前以外の言葉を添えた選手もいます。特注の黄色い車いすに乗ったローリー・ウィリアムズ選手は、名前の下に「お父さんいつもそばにいて」という文字が書かれています。今年6月にお父さんをがんで亡くしたウィリアムズ選手は、父の好きだった黄色の車いすに彼女の思いを込め、この刺繍を入れました。

ウィリアムズ選手に「力になった」と言われたパラリンピック期間中イギリス代表車いすバスケットチームの車いすの整備を担当していた松永製作所の岡川武和さんは「感慨深い。安心した喜びもあり、戦うぞという顔はしていました。そして自分も誇らしい気持ちとともに自分の仕事の励みになりました」と語りました。

また、松永社長は「我々は主役ではない、選手のお手伝いをするだけです。自分にあった道具・生活環境があれば、今までできなかったことができる。すごい人たちがいる、競技がおもしろいということをみなさんに分かってほしいです」と、5日に閉幕したパラリンピックを振り返りました。


写真:毎日新聞社/アフロ