異例の事態も...「最高のパフォーマンス出せた」“性別”めぐり議論の2選手が金 パリ五輪ボクシング女子
パリオリンピックで世界的に注目されている、出場選手の“性別”をめぐる議論。
その渦中にいるボクシング女子の階級の違う2人がそろって金メダルを獲得する結果となりました。
当事者のひとりである57キロ級の台湾の林郁テイ(女へんに亭)選手は10日、金メダルをかけた決勝戦でポーランドのユリア・シェレメタ選手に5-0で判定勝ちし、圧倒的な強さをみせました。
勝利後はリングから降りると、コーチを“おんぶ”して喜びをあらわにした林選手。
■林選手「周りの声は気にせず集中、一流アスリートはそれだけだ」
試合後のインタビューでは、応援してくれた人々への感謝を伝えたうえで、「大会中は周りの声は気にせずに競技に集中する、一流アスリートはそれだけだ。最高のパフォーマンスが出せた」と話しました。
■“性別議論”ナゼ…対戦相手から“異例の抗議”度々
前日に別の階級で金メダルを獲得したアルジェリアのエイマヌン・ハリフ選手とともに性別をめぐる議論の対象となっている林選手。
国際ボクシング協会=IBAが統括する去年の世界選手権では「男性の染色体をもつ」とされ、一度手にした銅メダルを奪われたものの、パリオリンピックでは、IOCのバッハ会長が「2人は女性」だとする見解を示し、IBAと反する立場を表明。
IOCは、林選手とハリフ選手、2人の出場を認める決定をしました。パスポート上は『女性』で、3年前の東京オリンピックをはじめ、これまでも競技に参加してきたことなどを理由に挙げています。
今大会で林選手は、どの試合もすべて5-0の判定勝ちをおさめていますが、対戦相手からは度々、“抗議”ともとれるサインを示される場面もありました。
2日に行われた二回戦では、通常現れるはずの試合後のインタビューを、林選手もウズベキスタンの相手選手も双方が“拒否”し、姿を見せない異例な事態に。
4日の準々決勝と7日の準決勝では、どちらの相手選手も対戦後、リング上で人差し指を交差させ“X”をつくるしぐさを見せました。海外メディアによりますと、女性を示す「XX染色体」を意味するジェスチャーだったのではないかとしています。
■試合後には...涙のメダルセレモニー
台湾メディアによりますと、台湾のボクシング選手としては、オリンピックで初の金メダル獲得となった林選手。メダルセレモニーで旗が掲げられると、手で目頭をおさえ、涙を見せました。