“新しい景色”から“最高の景色”へ 森保一監督が語る「アジアでの戦い」と未来にある「世界との戦い」【W杯2次予選北朝鮮戦】
国立競技場で3月21日に開催される北朝鮮とのワールドカップアジア2次予選。その戦いに向けたメンバー発表が14日に行われました。
2024年、優勝候補とされながらアジアカップベスト8敗退と打ちのめされた日本代表にとって再出発となるこの試合。アジアカップからは負傷中の三笘薫、冨安健洋ら7人のメンバーが招集外。カタールW杯以来1年3か月ぶりの電撃復帰となった長友佑都をはじめ、田中碧、相馬勇紀らが名を連ねています。
【招集メンバー】
GK:前川黛也、大迫敬介、鈴木彩艶
DF:長友佑都、谷口彰悟、板倉滉、渡辺剛、町田浩樹、毎熊晟矢、伊藤洋輝、橋岡大樹、菅原由勢
MF/FW:遠藤航、浅野拓磨、南野拓実、守田英正、相馬勇紀、小川航基、前田大然、堂安律、上田綺世、田中碧、川村拓夢、中村敬斗、佐野海舟(※不参加)、久保建英
発表を終えたばかりの森保監督にインタビューを実施。厳しさを増すアジアでの戦い、そしてその先に見据える世界との戦いについて聞きました。
Q:ベスト8で敗退したアジアカップ 優勝するために足りなかった部分は
ー率直に言ってチーム力が足りなかった。チーム力の切り口も沢山あるとおもいますし、私自身、最善の準備と思って準備はしていましたが、戦略・戦術そして「試合の中で起こり得ること」について【選手への働きかけ】という部分での準備はもっとやっていかなければいけなかったなと思います。
状況に応じて選手に、より自信を持って、勇気を持って戦ってもらえるように。相手が攻撃も守備もなりふり構わず必死に局面を戦ってくる中で、個々の局面を突破できなかったところはまだまだ上げていかなければいけない。
選手、スタッフも含めて個々の力を上げなければならないという課題が出たと思います。
Q:2026年ワールドカップでの目標は
ーワールドカップでチャンピオン、優勝すること。カタールW杯の時には【新しい景色を見よう】ということで、日本サッカーの歴史を変えていこうということで戦っていましたが、今度は【最高の景色を見る】ということで臨みたいと思います。
最高の景色とはワールドカップチャンピオンになるということとワールドカップの決勝に我々が進むというところを目標にして戦いに挑みたいと思います。
大切なのは、今の力を上げること。今の勝利が一番大切だと思うので、そこを忘れずに現実の中で一歩一歩勝って、そして成長して前進していけるようにしたいなと思っています。勝ち方のイメージとしてはPK戦も。そういう難しい戦いを制していかなければいけないということを覚悟しなければいけない。優勝イコール圧倒して勝っているではなくて、やはり我慢強く粘り強くギリギリの戦いをPK戦も含めて制していくというところ、その戦う覚悟は必要かなと思います。
Q:2列目攻撃陣の選手たちに期待すること
ー期待することは二つあります。一つは、2列目が「得点に絡む」と部分の得点への期待というところとあと「守備に貢献する」というところですね。
相手が我々に対策を練ってきた時に、死にものぐるいで守備をしてきた時に、そんな簡単にこじ開けられないというところも現実に出てきたと思います。
そして対戦相手が我々のウイークポイントを突いてスキを突いて得点を奪うチャンスを作り出していくというところで、攻撃だけ考えて、攻撃で圧倒できるという力ではまだまだないかなと思います。
そういった意味でみんなでハードワークして前線から守備をして相手にやらせないというところをしっかり持った上で攻撃を仕掛けられるようにということを考えていかなければいけないかなと。
アジアカップで本当に負けて悔しいですし、悲しいですし、辛いです。アジアの戦いを、より確実に勝つためにということと、世界で勝っていくために。やはり覚悟を持って自分たちが泥臭くハードワークしないといけない、戦っていかなければいけないというところは課題として出たと思いますので、チームとして「我慢強く、粘り強く」戦っていけるようにできればなと思います。
Q:21日(木)、そして26日(火)の北朝鮮との連戦どう戦う?
ー我々はアジアの中で圧倒して勝つというところをもちろん目指さなければいけないと思いますが、そんな簡単に圧倒はできないと思いますので、個々の局面で勝っていく強さを発揮しなければいけない。
勝つためには、「激しく厳しく」というところを覚悟して戦う、ということと「我慢強く、粘り強く」戦うというところを持ち合わせて戦わなければいけない。【ギリギリの戦いを勝っていくという覚悟】は絶対的に必要かなと思っています。
Q:試合に向けて選手たちにどんな働きかけを考えている?
ー何を志して我々が戦うかということをもう一度確認したいと思います。勝つためには、個々の局面で一人一人は勝っていくことが大切だということを伝えたい。
相手が闘志むき出しで激しく厳しく戦ってくるということは、選手たちも重々分かっているとは思いますが選手たちが日本のために戦ってくれるように意思統一ができればなと思っています。
選手たちもめちゃくちゃ激しく厳しい日常の戦いの中、レベルアップしてくれています。日常の持っているものがベースとなって、さらに国を背負って戦う気持ちを上乗せして戦っていけるように、選手たちには自信と、そしてその試合に勝つという闘志を持ってもらえるように働きかけていけたらと思います。
2026年の北中米ワールドカップで優勝する。指揮官は明確なビジョンを口にしながらもまずはその舞台に立つための【アジアでの戦い】は全くの別物として捉えていると話しています。
ー世界での戦いとアジアの戦い別物なんだっていうところは考えています。目指すことは同じでも、現実に立って臨機応変に考えてパフォーマンスを発揮することが大切かなと思います。
「ワールドカップでの日本の立ち位置での戦い」と、「アジアでの日本の立ち位置での戦い」とはより戦う内容が違ってくる。ですので、目標はワールドカップで優勝する、世界で勝つためにどうやって戦っていくかということを考えて、世界で勝てる戦いをすれば、アジアでも自然と勝てるという思いを持ちながらも、でもワールドカップとアジアでの予選は戦い方が変わるので、その現実に立たされた時に【マインドチェンジ】をすることが必要かなと思います。
我慢強く、粘り強くチームとして団結し組織力で戦っていけるというところは日本人の良さだと思っていますので、そういう日本人のメンタリティーを戦術に生かしながら勝利できるようにしたいなと思っています。
インタビューの中で森保監督が何度も繰り返した「我慢強く、粘り強く戦う」そして「勝つための覚悟」という言葉。厳しさを増すアジア予選を勝ち抜き、目標とする「最高の景色を見るための戦い」に挑むため。今回対戦する北朝鮮はまさに泥臭く・愚直な戦いを得意とする相手なだけに日本代表の覚悟が試される重要な一戦になります。