【区間賞一覧】初V國學院大學は中盤の区間で2人受賞 2位駒澤大学は長距離区間に強さ発揮 3位青山学院大学も2人受賞 黒田朝日&山本歩夢が区間新〈全日本大学駅伝〉
全日本大学駅伝が3日に行われ、國學院大學が5時間9分56秒で悲願の初優勝を達成。10月の出雲駅伝に続き今季2冠となりました。
また2位に駒澤大学と3位に青山学院大学と“3強”が出雲駅伝と同じ順位へ。この3校から区間賞は2人ずつ生まれ、2区間で新記録が誕生しました。
■史上稀にみる大接戦のスタート
1区(9.5キロ)で区間賞に輝いたのは日本体育大学の平島龍斗選手(3年)でした。スローペースの展開で終盤まで大きな先頭集団を形成。最後は平島選手がスパート合戦を制し、 28分18秒で走りきりました。國學院大學の嘉数純平選手(3年)が2秒差で続き、20位の立命館大学までが14秒差と大接戦のレースでした。
平島選手は「正直、びっくりしているのが一番」と笑顔。「今年1月の箱根駅伝で1区を走り区間最下位と悔しい結果となったので、この全日本こそはしっかり上位でと役割を果たすことを考えていました」と振り返りました。
■青山学院大学・鶴川正也「一緒に強くなっていきたい」区間賞は“1秒差”の接戦演じたライバルをたたえる
2区(11.1キロ)は、青山学院大学の鶴川正也選手(4年)が創価大学の吉田響(4年)に1秒差で勝利し、区間賞を獲得。昨年5区新記録を出した吉田選手がハイペースで引っ張る中、ほぼ同時に受け取った鶴川選手はその背後へ。2人のハイペースに後続を引き離します。5000メートルで日本選手権4位の鶴川選手がスピードを生かしスパートしますが、吉田選手も食らいつきデッドヒート。先頭で渡した鶴川選手が31分04秒でわずか1秒差での区間賞となりました。
鶴川選手は「区間賞を目標にしていたのでホッとしています。トップで渡して後ろと差をつけることを目標として走ったので、出雲のリベンジを果たせたんじゃないかなと思います」とコメント。
また「吉田響くんが強くて、僕がまだまだ弱いので引っ張ってもらう形になった。次に吉田くんと一緒に走るときは、僕が前に出る展開をやって、一緒に強くなっていきたい」ライバルとの激闘を振り返りました。
■留学生ランナーが2年連続区間賞で城西大学を上位に押し上げる
3区(11.9キロ)で区間賞を獲得したのは、城西大学のヴィクター キムタイ(3年)です。10位から受け取ったタスキを5位まで押し上げる快走。33分22秒のタイムで2年連続3区で区間賞に、キムタイ選手は「2年連続で獲得できてうれしい」と振り返りました。
また2区時点で16位と出遅れた駒澤大学は、伊藤蒼唯選手(3年)が区間2位の走りで、8人抜きをみせました。
■青山学院大学・黒田朝日が従来の区間記録を13秒上回る快走
4区(11.8キロ)は、青山学院大学の黒田朝日選手(3年)が区間記録の快走。当日変更で弟の黒田然選手に代わりこの区間に入った黒田選手は、アップダウンのあるコールにも安定感抜群の走りを披露。第52回大会で石原翔太郎選手(当時東海大学)が記録した33分16秒の記録を13秒上回る区間新記録をマーク。この時点で後続とは1分16秒の差をつけました。
黒田選手は、「先頭でタスキをもらって、後続を離すことが僕の仕事。その上で区間賞を取れたことがよかった。この区間は坂、上り下りが多いので、後半自分の得意分野である登りでしっかり力を出せるようにと思っていた」と笑顔をみせました。
■後半へ反撃の流れをつくった國學院大學の野中恒亨 去年の悔しさを力に
5区(12.4キロ)は 國學院大學の野中恒亨選手(2年)が反撃の流れをつくる快走。先頭の青山学院大学とは1分27秒差の3位でタスキを受け取ると、3キロ過ぎに城西大をかわして2位に浮上。独走していた青山学院大学を猛追し、41秒差につめてタスキリレー。創価大学の留学生スティーブン ムチーニ選手(2年)を上回る35分35秒のタイムで区間賞を獲得し、チームを勢いづけました。
野中選手は「前半5キロからハイペースで予定より速かったが、後半なんとか粘り切れた」とコメント。昨季は全日本や箱根で出場が叶わず。それでも10月の出雲駅伝に続く区間賞となり、「悔しさが今年の駅伝シーズンに2本区間賞につながっている。自分の役割である区間賞がとれたことはよかった」と振り返りました。
■國學院大學の勢い加速!2区間連続区間賞
6区(12.8キロ)は、國學院大學の山本歩夢選手(4年)が区間新記録の快走。「3キロ過ぎに差し込みがきた」と振り返りますが、後半はしっかりペースアップ。第54回大会に吉居大和選手(当時中央大学)の記録を14秒上回る36分47秒の区間新記録をマーク。先頭の青山学院大学の白石光星選手(4年)に4秒差に迫り、2区間連続区間賞とチームの勢いを加速させました。
山本選手は「区間賞をとることが最低限の仕事。そこはしっかり仕事ができたのは良かった」と話しつつも、「青学さんを抜くってことができなかったってことが、まだまだ力不足だな」と悔しさものぞかせました。
■各大学のエースが集まった7区は駒澤大学キャプテンが魂の走り
7区(17.6キロ)は、駒澤大学の主将の篠原倖太朗選手(4年)が区間賞を獲得しました。
先頭を争う青山学院大学の太田蒼生選手(4年)と國學院大學の平林清澄選手(4年)がし烈な争い。4秒差で先にスタートした太田選手がハイペースで飛ばして、一時は10秒以上の差をつければ、平林選手が終盤に追いつく展開。両者の争いは4秒差のまま同タイムとなります。
一方、2分47秒差の5位でタスキを受けた篠原選手は、前を走る城西大学と創価大学を抜き3位へ。単独走で孤独な戦いの中で49分57秒と太田選手や平林選手を10秒上回る区間賞。各大学のエース対決に勝利しました。
序盤は大きく出遅れた展開となったチームに「1区から6区までの選手が走ってきた中で、彼ら自身が思うようにいかなかった走りの子もいたと思います。その子たちが必要以上の責任を負わないように、自分が少しでも前へ前へとタスキをつなぐことを意識して走りました」とコメントしています。
またこの区間は、駒澤大学OBの田澤廉選手が49分38秒の区間記録を保持。「過去の先輩方の記録を追って行こうかなと思って走ってみましたが、やはり田澤さんは強かったと思いました」と振り返りました。
出雲駅伝ではアンカー区間で平林選手に敗れるなど、チームは2位。篠原選手は「これで1勝1敗。箱根駅伝では青山学院の太田くんもしっかりと調子を上げてくると思います。箱根に合わせて、誰が一番強いかハッキリさせたい」と締めました。
■これが王者駒澤大学の底力!衝撃の猛追に指揮官も笑顔
最終8区(19.7キロ)は、駒澤大学の山川拓馬選手(3年)が怒とうの猛追をみせました。
先頭と2分37秒差の3位でタスキを受けた山川選手は、序盤からハイペースでレースを展開。あまりの猛追に國學院大學の8区を走った上原琉翔選手(3年)もレース途中に後ろの駒澤大学との差を沿道の仲間に確認するほど。ゴール手前で青山学院大学を抜き、優勝した國學院大學とは28秒差の2位でフィニッシュ。歴代最多16回の優勝を誇る王者の意地をみせました。
また山川選手は、57分09秒で区間賞を獲得。早稲田大・渡辺康幸選手の8区日本人最高記録(56分59秒)には届きませんでしたが、2分詰め寄る衝撃の猛追。駒澤大学の藤田敦史監督は「すごいことだよ!」と山川選手の頭をぽんぽんとたたき、笑顔でたたえる様子がありました。
チーム別の区間賞は、優勝した國學院大學、2位の駒澤大学、3位の青山学院大学と“3強”から2人ずつ獲得し、日本体育大学と城西大学から1人ずつ受賞しています。
▽各区間上位3人
◆1区(9.5キロ)
1位 28分18秒 平島龍斗(日本体育大学3年)
2位 28分20秒 嘉数純平(國學院大學3年)
3位 28分20秒 小暮栄輝(創価大学4年)
◆2区(11.1キロ)
1位 31分4秒 鶴川正也(青山学院大学4年)
2位 31分5秒 吉田響(創価大学4年)
3位 31分37秒 アモス ベット(東京国際大学2年)
◆3区(11.9キロ)
1位 33分22秒 ヴィクター キムタイ(城西大学3年)
2位 33分39秒 伊藤蒼唯(駒澤大学3年)
3位 33分59秒 辻原輝(國學院大學2年)
◆4区(11.8キロ)
1位 33分03秒 黒田朝日(青山学院大学3年)※新
2位 33分41秒 斎藤将也(城西大学3年)
3位 33分44秒 谷中晴(駒澤大学1年)
◆5区(12.4キロ)
1位 35分35秒 野中恒亨(國學院大學2年)
2位 35分41秒 スティーブン ムチーニ(創価大学2年)
3位 36分8秒 山口竣平(早稲田大学1年)
◆6区(12.8キロ)
1位 36分47秒 山本歩夢(國學院大學4年)※新
2位 37分24秒 白石光星(青山学院大学4年)
3位 37分39秒 安原海晴(駒澤大学2年)
◆7区(17.6キロ)
1位 49分57秒 篠原倖太朗(駒澤大学4年)
2位 50分7秒 太田蒼生(青山学院大学4年)
2位 50分7秒 平林清澄(國學院大學4年)
◆8区(19.7キロ)
1位 57分9秒 山川拓馬(駒澤大学3年)
2位 57分48秒 野沢悠真(創価大学3年)
3位 58分12秒 工藤慎作(早稲田学2年)