Moto2小椋藍の逆転チャンピオンを掛けた戦いは転倒で終わる レース後の質問に言葉に詰まらせ「悔しかったですね・・・」
ビッグスクリーンに映し出された小椋藍の転倒シーン(撮影/遠藤智)
◇2022年MotoGP第20戦バレンシアGP・Moto2決勝(現地6日、スペイン)
日本のレースファンはもちろん、世界中のレースファンが注目したMoto2クラスの決勝は、スタートして8周目、左高速コーナーの7コーナーで小椋藍選手が転倒し、その瞬間、総合首位で9.5点リードのアウグスト・フェルナンデス選手(スペイン)のタイトル獲得が決まりました。
そのとき僕は、2コーナーと6コーナーに挟まされた場所にいて、2コーナーと6コーナーのバトル、そして6コーナーを立ち上がっていくトップグループの3選手を追っていました。トップを走るのは前戦マレーシアGPで優勝のトニー・アルボリーノ選手。その後ろで小椋選手は、ペドロ・アコスタ選手とし烈なバトルを繰り広げていました。
アコスタ選手が抜く。すかさず小椋選手が抜き返す。ハラハラドキドキのバトルを繰り広げる小椋選手はいつもよりアグレッシブで、逆転チャンピオンへの思いを強く感じさせるものでした。そして、8周目の6コーナーを立ち上がっていく3人を見送り、その3人をフェルナンデス選手が追っていきます。次の瞬間、ブラインドになっている7コーナーあたりで土煙があがりました。
スタンドからは大きなどよめき。そのどよめきは、ひとことで言えば驚きといったもので、決して落胆ではなかったように思いました。そのときに嫌な予感がしたのですが、サーキットのあちらこちらに設置されているビッグスクリーンに映し出されたのは、小椋選手の激しい転倒シーンでした。
すべてのレースが終わり、チームのトレーラーの中で荷物を片付けている小椋選手と、やっと、ゆっくり話すことができました。転倒したのは、左高速の7コーナーで、「あのときはフロントブレーキをちょっと強く握りすぎてしまった。フロントから・・・」。
「いつもよりアグレッシブな走りに見えたけれど?」と質問を続けると、「レースが落ち着いてきたときにアウグストが単独4位を走っていたし、うしろにだれもいなかった。このままだと僕は勝つしかなかったし・・・」と9.5点差を跳ね返すには優勝しかないという状況だったことを振り返っていました。
いつものことですが、小椋選手の言葉には、そのときの彼の気持ちがきちんと説明されています。チャンピオンになるためにはどうしなければいけないのか、ということがよくわかるものでしたが、小椋藍選手の最終戦バレンシアGPは7周と半分で終わってしまいました。
「転んだときにどんな気持ちだった?」と質問すると、「悔しかったですね・・・」と言うので、「いままで1番悔しいレースだった?」と聞けば、小さくうなずくだけで、言葉にはなりませんでした。
チャンピオンになれなかったけれど、「藍、一年お疲れさま。藍にとっては大変な一年だったろうけども、オレは最高に楽しかったよ。来年こそチャンピオン獲ろう」と、右手を差し出すと、小椋選手はその手をしっかり握り返してくれましたよ。身近で見てきた小椋藍選手の20戦。「反省することはたくさんあるけれど・・・」と小椋選手は20戦を振り返ってくれましたが、間違いなく、彼はいつも100%の走りだったなあと思うのでした。
日本のレースファンはもちろん、世界中のレースファンが注目したMoto2クラスの決勝は、スタートして8周目、左高速コーナーの7コーナーで小椋藍選手が転倒し、その瞬間、総合首位で9.5点リードのアウグスト・フェルナンデス選手(スペイン)のタイトル獲得が決まりました。
そのとき僕は、2コーナーと6コーナーに挟まされた場所にいて、2コーナーと6コーナーのバトル、そして6コーナーを立ち上がっていくトップグループの3選手を追っていました。トップを走るのは前戦マレーシアGPで優勝のトニー・アルボリーノ選手。その後ろで小椋選手は、ペドロ・アコスタ選手とし烈なバトルを繰り広げていました。
アコスタ選手が抜く。すかさず小椋選手が抜き返す。ハラハラドキドキのバトルを繰り広げる小椋選手はいつもよりアグレッシブで、逆転チャンピオンへの思いを強く感じさせるものでした。そして、8周目の6コーナーを立ち上がっていく3人を見送り、その3人をフェルナンデス選手が追っていきます。次の瞬間、ブラインドになっている7コーナーあたりで土煙があがりました。
スタンドからは大きなどよめき。そのどよめきは、ひとことで言えば驚きといったもので、決して落胆ではなかったように思いました。そのときに嫌な予感がしたのですが、サーキットのあちらこちらに設置されているビッグスクリーンに映し出されたのは、小椋選手の激しい転倒シーンでした。
すべてのレースが終わり、チームのトレーラーの中で荷物を片付けている小椋選手と、やっと、ゆっくり話すことができました。転倒したのは、左高速の7コーナーで、「あのときはフロントブレーキをちょっと強く握りすぎてしまった。フロントから・・・」。
「いつもよりアグレッシブな走りに見えたけれど?」と質問を続けると、「レースが落ち着いてきたときにアウグストが単独4位を走っていたし、うしろにだれもいなかった。このままだと僕は勝つしかなかったし・・・」と9.5点差を跳ね返すには優勝しかないという状況だったことを振り返っていました。
いつものことですが、小椋選手の言葉には、そのときの彼の気持ちがきちんと説明されています。チャンピオンになるためにはどうしなければいけないのか、ということがよくわかるものでしたが、小椋藍選手の最終戦バレンシアGPは7周と半分で終わってしまいました。
「転んだときにどんな気持ちだった?」と質問すると、「悔しかったですね・・・」と言うので、「いままで1番悔しいレースだった?」と聞けば、小さくうなずくだけで、言葉にはなりませんでした。
チャンピオンになれなかったけれど、「藍、一年お疲れさま。藍にとっては大変な一年だったろうけども、オレは最高に楽しかったよ。来年こそチャンピオン獲ろう」と、右手を差し出すと、小椋選手はその手をしっかり握り返してくれましたよ。身近で見てきた小椋藍選手の20戦。「反省することはたくさんあるけれど・・・」と小椋選手は20戦を振り返ってくれましたが、間違いなく、彼はいつも100%の走りだったなあと思うのでした。