鈴木啓太さん解説 失点シーン…“パス選択”は「攻撃の意図」 コスタリカ戦
ワールドカップの日本のグループリーグ・第2戦となったコスタリカ戦から一夜明けた28日、『every.』ワールドカップの解説者としてサッカー元日本代表の鈴木啓太さんにスタジオで話を聞きました。
■ ドイツ戦から5人変更 “フレッシュさ”で勝負も…
藤井キャスター
「グループリーグ第2戦、日本はコスタリカ相手に0対1で敗れてしまいました」
鈴木啓太さん
「悔しいですね…!」
藤井C
「さっそく試合を振り返ります。前半、日本の試合運びはどうでしたか?」
鈴木啓太さん
「なかなか良い形で攻撃が作れませんでしたね」
藤井C
「“ゴール前に飛び込めば1点”というシーンもありましたけど、こういうシーンをいくつも作ったかと言われると、なかなかそこまで多くはなかった…」
藤井C
「日本は、ドイツ戦からメンバーを変えて(コスタリカ戦に)臨みました」
鈴木啓太さん
「ドイツ戦から5人入れ替えているんですね。(右サイド)酒井選手の代わりに山根選手、そして中盤に守田選手を今大会、初めて起用しました。ドイツ戦で得点を決めていた堂安選手を(中盤の)右に、左には久保選手ではなく、こちらも調子の良い相馬選手を使いました」
鈴木啓太さん
「FWには上田選手と、フレッシュな選手を使って、コスタリカに対して勝ち点3をとろうというゲームプランだったと思うんですよね」
■ シュート14本も…「コスタリカの守備のうまさ」
藤井C
「一方で、後半は選手を代えて、攻撃の回数も増えたようにも見えたのですが、どうでしょう?」
鈴木啓太さん
「ディフェンスの枚数を1枚減らし、“3バック”にして、少し攻撃的な布陣にしましたよね。三笘選手が左サイドからチャンスを作っていましたし、『あと一歩』というところがあったんですけれども…」
藤井C
「そこはもしかすると“見えない”コスタリカのうまさがあったのかもしれませんね」
藤井C
「しかし、後半36分、深い時間でのことでした。(失点につながった)コスタリカの攻撃のシーン、吉田選手が“クリア”ではなく、“パス”を選択しました。このプレーはどうだったんでしょうか?」
鈴木啓太さん
「もちろん(吉田選手が)大きくクリアすれば良かったんじゃないかという声もあると思うんです。ただ、点を取るためには、自分たちのボールにしないといけない。“これを攻撃につなげないといけない”という意図があったんだと思いますね。本当に難しい判断だったと思います」
藤井C
「ただ試合を通じ、シュート数では、コスタリカが4本のうち1本が決まりましたが、日本は14本シュートを打っています。この点では圧倒していましたよね?」
鈴木啓太さん
「これを圧倒とみるか……。もしくは、逆に『ボールを持たされて、シュートを打たされる』『ただ、決定的なシーンは場面はつくらせない』という、コスタリカの守備のうまさが光ったのかな、と思いますね」
藤井C
「この試合の前に、スペインと戦っていたコスタリカですが、スペインの強さに慣れて、日本の攻撃を受け止める、という免疫がついていた可能性はありますか?」
鈴木啓太さん
「それもあると思いますね」
■ スペイン戦 どんな気持ちで臨む?
藤井C
「日本が入った“グループE”の順位表を見てみると、スペインとドイツは引き分けでしたので、勝ち点1ずつを取り合って、現在スペインが“勝ち点4”で首位に立っています。一方、日本とコスタリカは“勝ち点3”で並んでいて、得失点差で日本が上回っているので、現在はグループ2位。ドイツは、最下位となっています」
鈴木啓太さん
「本当に大混戦で、どのチームが決勝トーナメントに進出してもおかしくないという状況です」
藤井C
「決勝トーナメントに進出するには、グループの2位以内に入る必要があります」
藤井C
「その条件をまとめましたが……最終戦、まずは日本がスペインに勝ちますと、その時点で日本が決勝トーナメント進出、一方で、負けるとグループリーグ敗退が決まってしまうということで、勝ちと負けで『天国と地獄』になります」
藤井C
「一方で、問題は日本とスペインと引き分けた場合なんです。ドイツがコスタリカに負けると、コスタリカが勝ち点6まで伸びてしまうため、日本はグループリーグ敗退。一方、ドイツとコスタリカが引き分けた場合は、日本が決勝トーナメント進出となります」
鈴木啓太さん
「分かりやすく言うと……勝てばいいんです!!」
藤井C
「………。そうなんですけど、その“場合分け”をしなければなりません。日本が進出するか、ドイツが進出するか、流れは難しいところですが、グループリーグ残すところは1試合、日本代表は、12月2日にスペインと戦いますが、どういう気持ちで臨むべきでしょうか?」
鈴木啓太さん
「これは……僕にも分かりません。ただ、選手たちは自分のサッカー人生を懸けてやってくれているので、僕たちは信じるしかないんですよ」
■ “SNSに批判” 一番悔しいのは選手
藤井C
「ほかの報道によると、日本代表選手の個人的なSNSに批判の投稿をしているという人もいるといいます。こういうとき、選手というのは、批判で強くなりますか?」
鈴木啓太さん
「もちろん、そういうタイプの選手もいますが、やっぱり応援してくれる気持ちが、選手にとっては力になるんじゃないかと、私は思いますね」
藤井C
「本当に、一番悔しいのは選手だと思いますし、この後、日本が決勝トーナメント進出の可能性がある限り、応援していくというのが、私たちサポーターだと思うんですよ。不安が強くなれば強くなるほど、誰かにその不安を投げつけたくなる気持ちは分かりますが、いま、日本代表選手26人が一生懸命頑張っています。ぜひ、応援をお願いします」