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「100回大会でシード権を確実に」涙の予選敗退から1年…愛媛出身ランナーが挑む最後の“箱根への道”

2023年12月20日 19:19
「100回大会でシード権を確実に」涙の予選敗退から1年…愛媛出身ランナーが挑む最後の“箱根への道”
松山市出身の巻田理空選手

今回、100回大会となる箱根駅伝。この箱根の舞台へ、のこりの出場枠をかけたレースが行われました。まさかの予選敗退から1年…愛媛出身のランナーが挑む箱根、ラストイヤーに密着です。

10月13日、秋晴れの中多くの家族連れで賑わう公園。この公園が、翌日、人生をかけた舞台へと変わります。

清家記者:
「昭和記念公園の立川口前です。選手たちは、自衛隊の駐屯地を周回した後に、ここ立川口から市街地へと走っていきます」

そう、毎年1月2日号砲の箱根駅伝に繋がる予選会の会場となるのです。歓喜あり、涙あり、「一秒」が勝敗のカギを握る若きランナーたちのサバイバルレース。

この箱根駅伝予選会に挑む愛媛出身のランナーがいます。

1年前を忘れない…ランナーの思いとは。

まだ夜が明けきらない10月6日の午前5時半。神奈川大学横浜キャンパスのグラウンドです。

清家記者:
「予選会まであと一週間ということで、選手たちからは緊張した雰囲気が伝わってきます」

神奈川大学4年生の巻田理空(まきた・りく)選手。松山市出身の巻田選手は、松山商業高校陸上部で長距離ランナーとして走り、3年半前、箱根の古豪・神奈川大学の陸上競技部の門をたたきました。

現在は、部員54人をまとめる副キャプテンとしてチームを引っ張っています。

神奈川大学陸上競技部 大後栄治監督:
「結構辛口なことをいうタイプなのでよくキャプテンを支えて、キャプテンがあまり口数が多い方ではないので、巻田が 裏方で支えてやってくれている」

巻田選手:
「今日はジョギングで15キロ。流しをいれて16キロ」
Q.調子は?
「調子はいい感じだと思います」

きっかけは中学時代にみた箱根駅伝 活躍する愛媛出身選手に憧れて

朝練習が終わり向かったのは、陸上競技部の合宿所。

Q.みんなで生活している?
巻田選手:
「はい、ほとんど。何人かは外でアパート借りている人もいるが、ほとんどはここで」

寮に入ってすぐ目に飛び込んできたのは、神奈川大学の歴代最高記録保持者の名前。

20km、ハーフマラソン、マラソンと名を連ねているのは、宇和島市出身でマラソンの日本記録保持者で鈴木健吾選手です。

巻田選手が陸上を始めたきっかけも…

「中学生の頃に鈴木健吾さんが箱根の2区で区間賞をとっている姿を見て、同じ愛媛県出身の選手が活躍されていてすごいなと思って」

鈴木選手の走りに憧れ、高校で陸上を始め、今は同じ大学で「箱根」の道を目指しています。

そんな巻田選手を、部員たちは?

部員たち:
「格好いいっすね、憧れの選手です」
「むっちゃストイックな人です。通路でいきなり腕立てし始めるんですよ」

午後の練習が始まる1時間前。グラウンド近くのスポーツセンターで、一人黙々と練習する巻田選手の姿がありました。

寮に戻ると、胸にゴムベルトを着け、ガスマスクのようなものを装着。股関節の動きを体に覚えさせるワットバイクで、30秒100回転を3セットというハードトレーニング。

巻田選手:
「まじきついです、これ一番嫌いです」
Q.マスクはどういう効果がある?
「負荷です。酸素の摂取量を少なくするみたいな」

大後監督:
「走る練習以外のところを本当にコツコツ積み重ねてきているので。見えないところで高い意識をもって取り組んで継続できる、長距離選手に性格的にも向いているタイプ。健吾も巻田もどういう状況であっても希望をもって、先を見て積み上げられた選手だと思う」

「本当に情けない」ケガでエントリーから外れた去年の予選会 書き留めた思いを胸に

巻田選手が、ここまで努力するのには理由がありました。

巻田選手:
「これは去年の箱根予選会当日書いたもの」

10月15日。一年前の箱根駅伝予選会当日のページです。

“4年生の思いを背負ってもっと強くなる必要がある”

“強くならなきゃいけない”

“絶対的なエースにならなきゃいけない”

去年の箱根駅伝予選会には43校、およそ500人が出場。予選会では、各校12人のランナーがハーフマラソンを走り、そのうちの上位10人の合計タイムで総合順位がつきます。

上位10校が箱根の切符を手にするサバイバルレースです。

去年の予選会、神奈川大学は…12年連続で出場していた箱根の切符を逃しました。結果は11位、箱根出場にわずか34秒足りませんでした。

巻田選手:
「エントリーから外れてしまったので当日はその応援という形で先輩方に何もできなかったという本当に情けないなという」

巻田選手、去年の予選会は直前のケガの影響で、急遽エントリーから外れました。

大後監督:
「もう本当に(予選会)の2週間前ですかね、もう本当にアクシデントなんですけど、外さざるを得なくなった」

巻田選手:
「箱根をひとつの目標にやってきたのでその先がなくなったので真っ白になったというか…」

“100回大会でシード権を確実にとらなきゃいけない”

巻田選手:
「この日を忘れないためにちゃんと書いておこうと。自分の今の気持ちを。上手くいかなくて気持ちが沈みそうなときにもう一回見返そうと思って、何回か今年もこのページを見ました」

「すべて達成することが俺の来年の役割」1年前の自分との約束を果たすために

巻田選手の人生をかけた夢の舞台へのチャンスは、あと一回。今のチームで箱根を走るため予選会の通過を目指します。

大後監督:
「巻田は特に去年、直前で捻挫をして予選会に出られていないので、強い思いがあると思う。(調子は)8割くらいはきていると思う。懸念していた腹部の差し込みもここのところ出ていないので」

巻田選手:
「まずは予選会を通るということをチームの目標にしていて。どういうレースプランになるかわからないが一つでも上の順位でゴールしたい」

いよいよ、その成果を発揮する時がやってきます。

“すべて達成することが俺の来年の役割だと思う”

この白線の先に…箱根へと続く道が待っています。

(10月13日放送)

※10月14日に行われた予選会で、神奈川大学は7位入賞。
 2年ぶりとなる本選(2024年1月2日・3日)出場を決めました。

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