「弱さの自認」からの出発 "全員がナンバーワン" 全国大会へ挑む日本航空高女子サッカー部 山梨
■全国大会常連校 苦悩の1年半
「きょうも全員で元気よくやっていきましょう!いくぞー!」
「オー!」
練習場は大きな声が響き、活気に満ちています。
小池彩華主将
「全員でその舞台に立てることにうれしさを感じている」
全国大会常連の日本航空ですが、1年半もの間、全国の舞台に立っていません。
2023年の選手権関東大会は1回戦敗退。2024年6月の関東大会も初戦で敗れ、4年ぶりに全国高校総体(インターハイ)切符を逃しました。
堀祥太朗監督も、現在のチームに危機感を抱いていました。
堀監督
「(個の)力は非常に弱い、というのが率直な印象だった。先輩たちは大きなエネルギーを持っている子たちが多かった。そこに隠れているというか、どうしても表に出ていけないぐらいの選手たちだった」
インターハイ切符を逃した8月以降、チームは自らの弱さに目を向け、さまざまな変化を求めてきました。
まず着手したのが、コミュニケーションの改善。
小池主将
「夏の前まではあまりチームとしてコミュニケーションがとれなかったが、合宿などを通してコミュニケーションをとるように意識して練習してきた。今ではプレーをする上でも意見を交換する場が増えた」
緊密なコミュニケーションはプレーに大きく作用。選手同士で声を掛け合い、立ち位置やプレスのかけ方をピッチ内で修正しました。
小池主将
「自分たちの強みは前線からアグレッシブに守備して攻撃につなげるところ。前からプレスをかけていい攻撃につなげるようにするために、ポジションを変えながら自分たちの良さを出せるようにピッチの中でできるようになったのではないか」
■"みんなナンバーワン" 強豪校にも勝利
攻守の鍵を握るのは、左右のサイドバック。
右サイドは三珠中出身の小池主将(3年)。左サイドは世代別日本代表候補にもなった佐藤マリー奈々美選手(3年)。2人ともFWからコンバートされた、超攻撃的サイドバックです。
小池主将
「守備的ポジションになったことで体を張って守るなど、自分の良さを少しずつ出せるようになった」
佐藤選手
「サイドバックになっても点を取りたいという思いはずっとある。オーバーラップしたり、裏へのボールに自分も反応したりして攻撃につなげている」
高い攻撃力を備えたサイドバックは大きな武器に。さらに、チームは夏以降、個人戦術を強化。
そのために取り入れたのが、その名も「ナンバーワン宣言」。ゲームメーク、チームを鼓舞する声掛け、突破力など自らのナンバーワンを仲間に頼もしくアピールしています。
小池主将はスローインのナンバーワン。
小池主将
「自分自身が宣言したことに対して、もっと伸ばしていこうと思った。チームのみんなの良さを知ることで、その人の良さを生かせるようなプレーをするようになった」
チームは11月、東京の強豪・十文字と対戦。両サイドバックの果敢な守備で強力攻撃陣を最少失点に抑えると、連動した守備から高い位置でボールを奪い、カウンターから決勝点。2-1で勝利しました。
夏以降急成長したチームは、全国でも通用することを証明しました。
堀監督
「地道にコツコツと努力を積み重ねてうんと成長したチーム。夢であった全国制覇を実現ができるぐらいのチームに成長した。過去一番期待のできるチームになった」
小池主将
「チームの連係プレーやボールへの執着心をもっと高めて、日本一を目指して頑張る」
弱さを認め、急成長を遂げて史上最強へ―。進化したチームが全国の頂点へ、飛び立ちます。
全日本高校女子サッカー選手権に2年ぶりに出場する日本航空。開幕日の29日の1回戦で、帝京大可児(岐阜)と対戦します。
(「YBSスポーツ&ニュース 山梨スピリッツ」2024年12月15日放送)