×

【特集】インクルーシブ教育 小学校も試行錯誤、初の医療的ケア児受け入れ 普通学校入学から10か月 進級を前に新たな課題も

2025年1月17日 20:02
【特集】インクルーシブ教育 小学校も試行錯誤、初の医療的ケア児受け入れ 普通学校入学から10か月 進級を前に新たな課題も
同級生と一緒に音楽の授業に臨む礼衣ちゃん

障害のあるなしに関わらず子どもたちがともに学ぶ『インクルーシブ教育』を特集します。福井市の小学校で医療的ケアが必要な児童を初めて受け入れて10か月。新学年に向けた課題も出てきています。

福井市の森田小学校に通う堂下礼衣ちゃん(7)。気管に溜まるたんの吸引など、日常的に医療行為が必要ないわゆる医療的ケア児です。

入学から10か月が経ち、校内をバギーが通るのもすっかり日常になりました。

障害のあるなしに関わらず、児童が同じ環境で一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」。

森田小学校では、今年度初めて医療的ケア児を受け入れ、礼衣ちゃんは特別支援学級に所属しています。クラスメートは礼衣ちゃんとの関わりの中から、様々なことを学んでいます。

ある児童のノートには…。

(友達)れいちゃんはしゃべれるようになるの?
(看護師)もしかすると「ふー」って、声が出る可能性はある。
(友達)いつか、れいちゃんの声を聞きたい!

礼衣ちゃんは毎日、通常学級でも学んでいます。

英語の授業では、クラスメイトの歌声も刺激に。
クリスマスカードに色塗りも。できることは何でも挑戦します。

■担当の看護師
「いけー上手」「しっかり握ってよ」

通常学級へはこれまで、必ず2~3時間目に通っていましたが、今はその時間を少し減らして、図工や音楽などを中心に活動をともにしています。

■森田小学校 特別支援学級 主任 土谷彩乃教諭
「前よりは減ったんだけど、礼衣ちゃんにとって意味がありそうとか、友達との関わりがあるからという時間に変えた」
「私も特別支援校のスペシャリストじゃないので、礼衣ちゃんここにいて大丈夫かなとか、意味があるかなとか。礼衣ちゃんにとっての教育って何だろうってすごく悩んできた」

学校では、初めてのケースに、特別支援学校の教員から定期的に指導内容をアドバイスしてもらっています。

また、後期からは朝の会の時間に礼衣ちゃんだけ別の部屋へ。

自立活動の一環として暗い空間に光源を設置し、音と光の刺激を楽しみます。

■担当の教諭
「青色になったよ。きれいやね」

■特別支援学校の教員とのやりとり
「時々壁の方に手を伸ばしたように見えたので、その時は触りたいのかな?それに対する返しをあげると 、もしかしたらその動きが本当に触りたい動きになってくるかもしれない」
「礼衣ちゃんの動きを拾って、声かけてあげられるといいのかな」

15分程度のこの時間が、学校生活の切り替えに役立っているといいます。

■担当の看護師
「礼衣ちゃんの中できっと1日始まるっていう、スタートを感じているのでは」

はじめての学校生活に挑戦した1年。もうすぐ新学年が始まります。

2年生になると、教室の移動に階段を上る必要があります。学校では、バギー用の階段昇降機を手配しましたが、短い休み時間では活用できないといいます。

また、教員の配置も課題となっています。

支援学級では、8人の児童に対して1人の教員が付きますが、特別支援学校に比べ教員数が少ないため手が足りないのが現状です。

■森田小学校 特別支援学級 主任 土谷彩乃教諭
「毎年いろんな環境が変化していくので、その中でなるべくより良いベターを探してやっていけたら」

礼衣ちゃんとともに、教育現場も大きなチャレンジとなったインクルーシブ教育。

新学年に向けて試行錯誤が続きます。

最終更新日:2025年1月17日 20:22
福井放送 福井放送