シリーズ「こどものミライ」井尻商店街で「はじめてのおつかい」子どもの成長を地域で見守る 福岡
■お母さん
「できる、できる。」
■廣田彩那ちゃん(5)
「えいえいおー!」
元気いっぱい、小さな女の子が初めてのおつかいに出発します。舞台は商店街。お母さんに頼まれたのは、持ち帰り用のオムライスとコーヒーゼリー、からあげです。
お母さんが不安な様子で見守ります。
■お母さん
「オムライス通り過ぎちゃった。大丈夫かな。」
廣田彩那(さな)ちゃんはこの日、5歳の誕生日を迎えました。その姿を心配そうに見つめるのは、お母さんだけではありません。
■イベントを企画・若杉和枝さん
「どこで声かけようかを迷っているのは迷っているで、そのままでいいのかなと思いつつ、どこかで声かけないと危ないので。」
彩那ちゃんはコーヒー専門店も通り過ぎてしまいました。たまらず、大人が彩那ちゃんに店の場所を教えます。
■お店の人
「こんにちは。」
■彩那ちゃん
「こんにちは。」
「コーヒーゼリーください。」
オムライスも買い終え、最後にからあげを買いに店に向かっています。すると、目の前に大好きなお母さんの姿が見えました。
■彩那ちゃん
「からあげセット。」
お母さんの所に駆け出したい気持ちを我慢して、おつかいを続けます。
■彩那ちゃん
「からあげ1個ください。」
■お店の人
「1人で来たの?」
■彩那ちゃん
「うん!」
■お店の人
「おりこうさんね!」
■彩那ちゃん
「ママあそこに待ってる」
ちゃんとから揚げを買って、お母さんのところに向かいます。
■彩那ちゃん
「ママー!」
■お母さん
「お帰り!いっぱい買ってきた?」
「うん。」
無事、初めてのおつかいを終えました。
■母・かおりさん
「一人でも何かできると自信になったのでは。自信になったね。」
■彩那ちゃん
「うん。」
■かおりさん
「自信を持って頑張ってください。」
■彩那ちゃん
「はい。」
この日、福岡市の井尻商店街で行われた「はじめてのおつかい」のイベント。企画したのは、商店街でコワーキングスペースを営む若杉和枝さんです。
自身も5歳の娘を育てる若杉さんには、子どもの成長を応援するためだけではなく、ある思いがありました。
■イベントを企画・若杉和枝さん
「商店街で子育てを一緒にやっていけたらなと思っていて。話しかけてくれるだけで、お母さんが救われたとまでは言わないが、ここに来れば安心という気持ちになるので。子育ても1人でしなきゃと思うけれど、もうちょっといろんな人で声を上げることで助けてくれて、何かが実現できるというのが感じ取ってくれたらうれしいです。」
お母さんにとっては、子育てを一人で抱え込まずに誰かに頼ってほしい。そして、商店街の人にもお母さんを優しく見守ってほしいという思いが込められています。
イベントでは、そんな地域のつながりを感じられる場面もありました。
■加川歩果(ほのか)ちゃん(4)
「小松菜どこですか?」
■お店の人
「小松菜ですか。こちらですよ。これ。」
■歩果ちゃん
「ありがとう。」
分からないことをお店の人に質問する、しっかり者の加川歩果ちゃんは4歳です。
■歩果ちゃん
「はぁ~つかれるな。」
思わず心の声が漏れます。
■歩果ちゃん
「からあげと、八百屋さんで小松菜・にんじん・じゃがいも買ったの。」
■地域の人
「転ばんようにね気をつけてね。」
地域の人の優しい声に励まされ、元気を取り戻しました。
■お母さん
「お帰り。頑張ったね。お疲れさま。おめでとう。」
■歩果ちゃん
「ちゃんと言った通りのやつ買ってきた。」
商店街の人も温かい気持ちで、子どもたちの挑戦を見守りました。
■商店街の人
「いろんな年齢の人と触れ合って、長い人生のスパンの中で記憶に残ることがあれば、ああいう人に出会ったなとか、人とのふれあい、やさしさ、声かけがあれば心に残ってくると思う。みんなで地域で子育てしていければ一番いいことだと思う。」
初めてのおつかいでちょっと成長した子どもたち。その姿は、周りで見守る大人の心にも地域のつながりの大切さを考えるきっかけになったようです。