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【専門家解説】全国的な逆風の中なぜ熊本では自民が強かった?

2024年10月28日 19:52
【専門家解説】全国的な逆風の中なぜ熊本では自民が強かった?
熊本大学・伊藤洋典教授(政治学専門)

衆議院議員選挙は、全国的に自民党への逆風が吹いた中、熊本では4つの小選挙区を自民党が独占しました。県内はなぜ自民党が強いのか。

政治学に詳しい熊本大学の伊藤洋典教授と選挙結果を分析します。

(緒方太郎キャスター)
まずは自民党が議席を独占した熊本の衆議院選挙を、フリップに一言で表していただきます。何とお書きになりましたか?

(伊藤洋典教授)
「無風選挙」と表現しました。全国的には暴風が吹くくらいの大きな変化があったわけですが、熊本に関しては前職の4人が盤石の選挙を展開し、全員が当選したので風が起きにくかったということでこの表現にしました。今回裏金問題が大きくクローズアップされましたが、熊本は対象の議員がいないということもあり、なかなか候補者個人に対する批判にはつながりにくかった印象です。

(緒方キャスター)
結果だけみると、熊本は野党の比例復活すら許さない票数の差がついた形です。ただ、詳しく票を分析すると「逆風」の影響が垣間見られます。

(畑中香保里キャスター)
無党派層が多い熊本1区の木原氏の得票率について、今回と前回を比較します。候補の数が2人と3人と違うので単純に比較はできませんが、得票率を見ますと、今回、木原氏の得票率は6ポイント低くなっています。

そして、無党派層の投票先について出口調査の結果を見ると、立憲民主党の出口慎太郎氏の方が多くなりました。伊藤教授、このデータをどう分析しますか?

(伊藤教授)
無党派層からかなり立憲の方に票が入った。水面下ではかなり批判的な動きがあったかと思うんですが、投票率が低く大きな風にはなりにくかったかなと思います。

(緒方キャスター)
なぜここまで、熊本県内では自民党が強いんでしょうか。

(伊藤教授)
一言で言うと自民党の組織力ということになるんですが、もう一つは熊本の状況としてTSMCの進出によりかなり追い風が吹いている。道路整備など大きな予算を必要とするような場面が出てくるということもあり、国とのパイプは自民党でなければという思いが出たかなという印象です。そこで実績のある候補を選ぶという心理も働いたのでは。

(緒方キャスター)
全国的には自民党が大敗。立憲民主党は50の議席を増やす躍進となり、今後の政権運営の行方が注目されています。

(畑中キャスター)
そこでKKTでは28日に街頭インタビューしました。今後の政権運営について、自民党中心か立憲民主党中心かどちらに期待するか、100人あまりにシールを貼ってもらいました。

(緒方キャスター)
その結果がこちらです。自民党中心が「60」。立憲民主党中心が「43」でした。伊藤教授、この結果をどうご覧になりますか?

(伊藤教授)
熊本は過半数が「自民党中心の政権」が良いということで、自民党支持の傾向が出ているかなという印象です。

(緒方キャスター)
来年7月には参議院議員選挙が予定されています。各政党、そして有権者の私たちは、政治にどう向き合うべきとお考えでしょうか。

(伊藤教授)
政党は厳しい結果が今回あった。有権者の厳しい目があるということを意識し、これまでのあり方を反省し、もう一度いろんな政治活動、政策などを考えてほしいと思います。有権者はそれぞれの関心に沿って政治を見ている。それが大事。有権者の目があるということで政治に緊張感がです。それぞれの関心に沿う形で投票行動に結びつけることで新しい政治も出てくるということを考えてほしいと思います。