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能登半島地震2か月 熊本から支援チームも 平井キャスター取材「被災地の"いま"」

2024年3月5日 18:58
能登半島地震2か月 熊本から支援チームも 平井キャスター取材「被災地の"いま"」
元日に発災し、2か月が経った能登半島地震。平井友莉キャスターは2月下旬から1週間、石川県の被災地を取材しました。

(平井友莉キャスター)
私は、2月25日から1週間、NNN取材団の一員として現地を取材してきました。一番の印象として、かなり広範囲に被害を受けていると感じました。

取材したのは、地震や津波の被害を受けた珠洲市や輪島市、能登町など5つの市と町です。金沢市などは今は日常が戻っていますが、「奥能登」と呼ばれる能登半島北部には、まだ手つかずの場所もあります。現地取材ではさまざまな課題も見えてきました。

【VTR】
3月1日。被災から2か月のこの日、かつて多くの人を迎えてきた観光名所・輪島の朝市。200棟以上が全焼しました。
■平井キャスター
「きょうで地震から2カ月ですがまだわずかに焦げた香りも残り焼け跡はそのままとなっています」

能登半島地震では、関連死を含め、241人が犠牲となっています。(2月26日時点)

能登半島の先端に位置する珠洲市。地震に加えて、津波の被害を受けました。中でも被害が大きかったのが鵜飼集落です。
■平井キャスター
「この海岸にも津波が押し寄せ、こちらの集落にも襲いました。約2か月が経った今も、住宅はそのままの状態です」

津波によって倒壊し、あらわになった住宅の中からは、写真やおもちゃなど暮らしの息遣いを感じるものも数多く見られました。

寺も倒壊していました。歩いていると、今も建物の木材のにおいが漂っていました。

Qこれはきょう出されたもの?
「そうです」
自宅で作業をしていた尾戸大介さん(71)は、現在身を寄せている金沢市の避難所から、約4時間かけて片付けに来ていました。石川県から福井県のホテルを割り当てられましたが、先の見えない生活が続きます。

■尾戸大介さん
「とにかく自分のことで手一杯なので、復興と言われても、何から手をつけていいかわからない。他の方も皆さん一緒じゃないかなと思う」

住宅再建のための調査には全国の行政職員が派遣されていて、熊本県のチームに出会いました。益城町の鶴野雅臣さんは、2月28日から1週間、能登町で被災した建物を1軒1軒回り、補助金申請の基準となる建物の傾きなどを調べていました。

被災者に寄り添う気持ちの陰には、8年前の熊本地震の経験がありました。
■益城町街路課 鶴野雅臣工務係長
「熊本地震では結構辛かったことがありますので、皆様の辛い思いを少しでも軽くしたいと思っています。復興に臨めるように私たちもできる限りの力添えをしたい」

【スタジオ】
(平井キャスター)
仮設住宅について、入居を希望しているのは8つの市と町で少なくとも7800戸に上っています。ただ、2月28日時点で完成しているのはわずか302戸。石川県では約3500戸を4月下旬までに完成させるとしています。

(畑中香保里キャスター)
希望者の半数以下しか入居できない計算ですね。

(平井キャスター)
珠洲市では、仮設住宅に申し込んでもいつ当たるかわからず、避難所から被災した自宅に戻る選択をした方にも話を聞きました。いまだ2万戸以上で断水が続く中、まずは生活をどこでするのか、今後の見通しがたたないことが不安だと話す方が多くいらっしゃいました。一方で、取材を続けると、復旧が進まない課題があると感じました。

【VTR】
■平井キャスター
「能登半島へと向かう唯一の自動車専用道路です。2か月が経った今も通行止めとなっていて、一部区間が通れなくなっています」

金沢市内から珠洲市まで地震前は車で2時間半ほどでしたが、道路状況が改善していない影響で、現在は3時間半程度かかります。途中、道路が崩落している所があり、復旧にはまだ時間がかかりそうです。

そうした中でも、支援の輪が広がりつつあります。各地で災害ボランティアの受け入れが始まりました。石川県中央部に位置する志賀町を訪れていたのは、熊本からの支援チームです。

総勢25人のメンバーの中には、熊本地震だけでなく熊本豪雨で被災した県南出身者も多く在籍していて、復旧支援に尽力してきました。
■熊本のライオンズクラブ 有川誠さん
「熊本で地震や水害。私は水害があった所が地元なんですけど、その時に全国から支援をいただいたので、能登半島で何か力になればという思いだけで集まったライオンズのメンバーです」

メンバーは5日間、自費で金沢市内に宿泊し、志賀町に通って家財の搬出などの作業にあたりました。
■作業を依頼した人
「ほっとした。助かります、ボランティアさん」
「熊本地震の時、明日は我が身かもと思っていたら、案の定そうなった。本当にありがたい。本当に何もできない、自分たちでは」

ただ、被災地までのアクセスの難しさなどの影響で、ここにも課題があります。自治体が受け入れを制限するなどしていて、この2か月のボランティアの人数は、熊本地震当時のわずか6%にとどまっていて、支援の手が足りていないのが現状です。有川さんたちは被災した経験があるからこそ、この厳しさを実感していました。

■熊本のライオンズクラブ 有川誠さん
「なかなかボランティアの数も正直足りていないように感じるので、全国のみなさんが少しずつ支援が増えていけば」

能登半島地震から2か月。現地では、課題と向き合いながら前を向く被災者と、その背中を後押しする人たちの姿がありました。