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交渉"15年"進まず…行政代執行で解体工事完了 人が住む家で県内初

2023年12月15日 18:58
交渉"15年"進まず…行政代執行で解体工事完了 人が住む家で県内初

熊本市中央区で人が住む住宅として初めて県が進めてきた行政代執行。解体工事が完了し、土地が熊本市へ引き渡されました。

■平井友莉アナウンサー
「国道3号線からのびる龍田陳内線です。交通量のとても多い道ですが、行政代執行が行われた場所は、今は建物はなくなり更地となっています」

渋滞緩和などを目的とした道路拡幅のため進められてきた行政代執行。今回、対象となっていたのは、熊本市中央区西子飼町の都市計画道路沿いにある木造住宅です。

住宅には70代の姉妹2人が住んでいましたが、約15年にわたる移転交渉が進まず、3年前、県の収用委員会で熊本市への明け渡しが決まりました。

■退去させられる女性(11月14日・強制退去の日)
「何か訳が分からないうちに、こうなったという感じが正直なところかもしれません。何も分からずに県と市の方がされる通りにしてたら、こんなになったという感じ」
■熊本県県用地対策課 下﨑浩一課長(11月14日・強制退去の日)
「丁寧に説明したい一心で毎日訪問してましたけど、シャッター越しに声をかけても応答ないし、電話しても出てもすぐ切られる状況で、中々こちらがやりたいことができなかったというのが現実」

住民の納得が得られないまま11月、県は解体工事に着手。そして、12月15日。

■熊本県用地対策課 下﨑浩一課長
「行政代執行について全ての行程が完了しましたので、これをもって行政代執行を終了いたします」

行政代執行の終了を宣言し、都市計画道路の工事を執り行う熊本市に土地が引き渡されました。

道路から4メートルほどの約34平方メートルの土地では、今後、歩道の拡幅や自転車道の整備、電線の地中化の工事が行われます。熊本市は、2025年度末までのこの区間の道路整備の完成を目指しています。

熊本県土木部 久原美樹子政策審議監
「今後も移転義務者の方々に寄り添いながら、熊本市と引き続き緊密に連携を取り、生活再建に向けて取り組んでいきたい」

11月に退去した姉妹は、市が移転先として用意した市営住宅への入居を拒否し、現在、熊本市内のホテルで生活しているということです。今後は、代執行の対象ではない土地に住宅を再建する意向だということです。