能登の空に再び“トキ”が…早ければ来年6月にも放鳥へ 「復興の後押しに」関係者にも喜びの声
14日、都内で開かれたトキの野生復帰に向けた検討会。
環境省 植田 明浩 自然環境局長:
「環境省としても地域に寄り添って、トキの野生復帰を通じた復興支援に貢献したい」
本州初となるトキの放鳥を早ければ来年6月にも能登地域で行うことが決まりました。
放鳥するのは全国の分散飼育地で繁殖させた個体。1回につき15羽から20羽ほどを放つ予定で複数年にわたり継続することで能登でのトキの定着を目指します。
3年前には能登の9つの市と町が放鳥の候補地に。
その後、餌場の環境を整えるなど、受け入れ準備を進めていて、今回、そうした取り組みが評価され、能登での放鳥が正式に決まりました。
この決定を受け、関係者からは喜びの声が。
濱田栄治さん:
「トキがここで放鳥されればうれしいし、ここの地域に居ついてくれればいいなと思います」
羽咋市のトキ放鳥推進モデル地区でコメ作りを行う濱田栄治さん。
環境にやさしいコメづくりのほか、トキの餌場となるビオトープを作るなど環境を整えて放鳥のときを待っています。
さらに、準備しているのがー。
濱田栄治さん:
「この子です、名前はトモコです」
見せてくれたのはトキの模型です。
濱田栄治さん:
「トキがもしかしたら放鳥されたときにビオトープに置こうと思っています。そうすると仲間がいるなと思って、トキがそこにいついてくれないかなと思って作ってもらいました。トキ、コウノトリ、ハクチョ ウといった鳥を見にきてくれる人、観光資源につながればいいなと考えています」
一方、こちらは半世紀を超えてトキの保護や生体の研究に取り組む羽咋市の村本義雄さん99歳。
村本義雄さん
「いよいよ来るべき日がきたなと」
トキに魅せられておよそ70年。子どもの頃にみた野生のトキを能登に取り戻したいと保護活動に情熱を注いできました。
村本義雄さん
「うれしい反面に心配。まだまだ完全な受け入れ体制はできておりませんので。年間を通して、一年中そこにトキが餌を漁るっていうそういう環境は少ない」
雪に覆われてしまう石川の冬。
村本さんは特に、冬の餌場づくりがトキの定着に大切だと話しました。
馳知事は能登の復興のシンボルとして期待を寄せます。
石川県・馳 知事:
「地震、豪雨災害の復興の途上にある石川県民にとりまして、本当に大きな朗報であると。能登の皆さんに守られてきた農業遺産、里山里海がトキが暮らしていけるお墨付きをいただいた。ブランド化ということを戦略として進めてまいります」
地震で傷つけられた能登に希望のトキを。
環境省などは来年6月上旬の放鳥を目指し調整を進めます。