心の復興を後押しする”キリコ祭り” 祭りの国「能登」復活へ
市川 栞アナウンサー:
「北國新聞論説委員の野口強さんとお伝えします。よろしくお願いします。きょうはどんな話題でしょうか」
北国新聞・野口 強 論説委員
「能登で地震からの生活再建が動き出す中、ハード面だけでなく、心の復興を後押しする上で、欠かせないのが「祭り」です」
「先ごろ、能登で行われるキリコ祭りのトップバッターである能登町宇出津の「あばれ祭」が、7月の通常開催をめざすことが決まりました」
市川:
「道路の損壊やキリコの破損で、まだ開催が決まっていないところも多いですが、能登の人にとって、祭りは活力の源と言えますよね」
野口:
「きょうのテーマは、こちら。祭りが呼び込む能登の心の復興」
「能登は「祭りの国」と言われるように、各地に独特の祭り文化が息づいています」
「中でも、文化庁が日本遺産に認定したキリコ祭りは、200ぐらいの集落に受け継がれていて、それぞれ個性的なキリコが、みこしのお供として担ぎ出されます。」
市川:
「能登では夏から秋にかけて、祭り前線が北上し、毎日どこかで祭りがありますよね」
野口:
「各家では遠方から客人を招いて歓待する。私も、能登で勤務しているときは、集落ごとの祭りに呼ばれ、これでもか、というぐらいの手厚いもてなしを受けました。」
「1つ目の、目からウロコです。終わった日から”あと364日”」
市川:
「すぐに次の年!?」
野口さん:
「能登では、祭りが終わった翌日には、小学校の教室の黒板に、「祭りまであと364日」と残りの日数が書かれたそうです」
「道路を作る時は、キリコが通るスペースをまず確保したり、家を建てるときには、座敷からキリコが見えるような間取りにするといったように、祭りを軸に1年が回り、生活のカタチが決まります」
「能登から別の地域に移った人でも、祭りの時期だけは、仕事を休んで、故郷に帰ってキリコを担ぐ」
市川:
「お盆や正月よりも、祭りが大事だという人は多いですよね」
野口:
「ところが、今回の地震では、全容は把握できませんが、能登の神社の半数以上が損壊し、キリコも縦に長い構造上、横揺れに弱く、保管庫ごと倒壊したところが多かった」
「江戸時代以降に作られたキリコを保管している輪島のキリコ会館などでは、30基のうち20基以上が倒れてしまった」