【そもそも.】『宿泊税』ってなあに?<特定の目的「観光振興」のために自治体が独自に定める>
最近耳にする新しい言葉、なかなか深く知らない言葉について〝そもそも〟からお伝えしていく。今週のテーマは、『宿泊税』ってなあに?
まずは『宿泊税』について知っているか?街の人に聞いた。
栃木からの女性(20代)
「宿泊税?あんまり聞いたことない。私は県外に住んでいるので、宮城県に来て税金払って、それで町が豊かになってくれるなら別にいいかな。300円くらいならって思う」
県内の男性(10代)
「なるべく安く泊まりたいなと思うけど、300円…どのくらい違うのかなと思う」
県内の男性(70代)
「入湯税もあるし、税金が何重にもかかってきているから、そういうのはやめてほしい」
県内の女性(80代)
「(Q税収の使い道について?)他県からお客さんが来るように、(仙台)城なんかももう少し、せっかく伊達政宗の人気だから、お城らしくした方がいい」
様々な意見があったが、『宿泊税』について旅行や観光に関する研究機関として国から認定を受ける日本交通公社・江崎さんに話を聞いた。
そもそも、『宿泊税』は地方税のうち「法定外目的税」というものの1つ。
じゃあ、この「法定外目的税」はどういうものか?というと、自治体が特定の目的に対して条例で独自に定めることができるという税金だ。
今回の場合、特定の目的は「観光振興」。
全国では、現在9つの自治体がこの宿泊税をすでに導入している。
最も早かったのは、東京都で2002年、次いで大阪府や京都市などだ。
例えば、東京都を例に見てみると1人1泊1万円~1万5000円未満の場合は100円、1万5000円以上の場合は200円徴収することになっている。
宮城県はというと、宮城県・観光戦略課の新妻さんに話を聞いた。
県内では2018年から『宿泊税』導入検討の議論が始まり、コロナ禍で一旦中断したものの、去年から再開され、今の状況に至る。
導入検討の背景にあるのは、国内の人口が減ったことによる観光客の減少や、インバウンド客の獲得などといった課題。
特に人口減少については、宮城を訪れる人も相対的に減ることが予想される中、『宿泊税』を導入することで財源を確保し観光振興に力をいれていこうというもの。
これらに加え、コロナ禍を経て、感染症や災害リスクに対応できる観光産業の基盤の強化ということも、重要性が高まっているという。
さて、『宿泊税』について見てきたが、ほかの自治体では観光振興のための様々な税金がある。
例えば、静岡県熱海市の「別荘等所有税」。
所有している別荘などの延べ床面積1平方メートルにつき年間650円の割合で課税されるというもの。
これは、別荘やリゾートマンションが多いことを背景に、生活関連施設(例えばごみ処理や上下水道などの施設の運営)のために使われているという。
ほかにも、広島県廿日市市では「宮島訪問税」という税金がある。
世界遺産・厳島神社がある宮島では、エコツーリズムの推進などのために1回の訪問につき100円徴収されるという。
『宿泊税』は、9月定例礒会で条例案が提出される見通し。
今回の案が採択されるかどうか?また、観光振興という目的の元で、具体的にどのような使い道か?議論を慎重に見守っていきたい。