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松山市内中心部で深刻な“放置自転車”解消へ…中之川通りに無料「路上駐輪場」設置から1か月、現状は

2024年5月9日 18:30
松山市内中心部で深刻な“放置自転車”解消へ…中之川通りに無料「路上駐輪場」設置から1か月、現状は

今年3月、松山市に設置された「路上駐輪場」。通行の妨げとなっている“放置自転車”対策として新たに作られたのですが…設置して1か月、「便利でうれしい!」という声がある一方で「ちょっと危ないかも…」との声も。現状を取材しました。

サイクルガイド 正岡イチ子さん:
「1時間おきくらいに台数を調べてるんですけど、大体10時頃になったら満車状態になります」

3月26日、松山市の中之川通りに設置された路上駐輪場。通りの北側の歩道およそ260mにわたり自転車107台分の駐輪スペースが設けられています。最大4日間停めることができ、利用は無料。銀天街商店街までは歩いておよそ30秒です。

利用者:
「めちゃ助かります。無料なんで使いやすいです」
利用者:
「アクセスしやすくてありがたいですね」

松山市駅周辺では路上の「放置自転車」が長年の問題に

この駐輪場が整備された理由が…市内中心部の路上に停められた“放置自転車の解消”です。特に松山市駅の周辺では、放置自転車の解消が喫緊の課題となっています。

松山市・交通拠点整備課 村井望主幹:
「こちらは道路なので、駐輪スペースではないんですよ。5月7日からはこちらの工事に入りますんで、今置いてある自転車やバイクはここに置けない状態にします」

中心市街地の活性化のため、2年後の完成を目指し整備が進む松山市駅前広場。

現在、駅前に点在しているバス乗り場をロータリーにするなどし、公共交通の乗り継ぎをスムーズにするほか、西側には、イベントなどができる「交流広場」が誕生する予定です。

放置自転車とバイクが並ぶスペースは、タクシーの「待機場」となる予定で、きのうから工事が始まっています。

村井主幹:
「歩行者の安全とかお年寄り小さい子どもさんとかが歩くのに支障にならない形で、前の広場を整備させてもらいたい」

点字ブロックにかかる放置自転車も…歩行者の安全妨げる深刻な事態に

路上の放置自転車によって“安全”が妨げられる事態も。こちらは3年前、市駅前の様子です。放置自転車が歩道の半分を塞ぎ、点字ブロックをまたいでしまうことも。目の不自由な人の通行に支障が出ていました。

県立松山盲学校 教師 河野貞之さん:
「私や白杖が一部引っかかって、 よろめいた自転車がガタンと倒れてしまうということはありますね。ドミノ倒しでダラダラダラっと何十台もなぎ倒す感じになるので、それはもう大騒動で」

県立松山盲学校 教師 矢野繁樹さん:
「点字ブロックの真上だけでなく、すぐ際の所ですね、30㎝程度はあけて停めて頂けると私たちは非常に安全に歩ける環境になると思います」

松山市中心部を巡回し、放置自転車の整理業務にあたる松山市シルバー人材センターの喜田さんと嶌田さん。3年前と比べると、市駅前の放置自転車は減ったと話しますが…

松山市シルバー人材センター 喜田正さん:
「あそこ出とるでしょ、2か所。あれが午後になったらずらーっと並ぶんよ。道路の方へ」

車道にはみ出すバイクに…歩道の半分を塞ぐ放置自転車の列。放置自転車が解消されたとは言えない状況です。

松山市駅周辺の駐輪スペースは?

松山市の調査によると、市駅周辺の放置自転車やバイクの数は平日でおよそ450台。

市駅を中心に半径300m以内には市営の無料、民営の有料駐輪場があわせて5か所ありましたが、空きスペースを全て使ったとしても、300台分の駐輪スペースが不足していて、自転車やバイクの利用台数に駐輪場の数が追い付いていないのが現状でした。

設置から1か月、中之川通り駐輪場に行ってみると

そこで、松山市は市内中心部で駐輪スペースの確保を進めていて、このうち、市駅前広場に近く歩道橋の下などを活用できる中之川通りに107台が置ける駐輪場を設置しました。

設置からちょうど1か月が経った先月26日に現場に行ってみると…

杉本記者:
「先ほど停まっている自転車を数えたら、126台停まっていました。収容台数を上回る台数です」

利用者:
「助かりますね。銀天街もすぐ近くなんで」
利用者:
「いつもはお金払って停めてるんですけど、無料なのはちょっとありがたいなと思います」

サイクルガイド 正岡さん:
「喜んでもらっているのがおばあちゃんたち。お年寄り。(立体駐輪場では)自転車の枠入れるのに、なかなか重たいし。ここだったら枠内も広いくて十分置けますから、喜んでいただいています」

自転車ユーザーからは、「便利でうれしい」という声が多く聞こえました。

その一方で…

サイクルガイド 正岡イチ子さん:
「(車やバイクと)当たらないかな、思って、怖いです見ててすごく」

車道を走る自転車も多く…自転車もドライバーもさらなる注意が必要

中之川通りの歩道は“自転車の通行が不可”のため、自転車に乗る場合は、車道を走らなければなりません。

そのため、駐輪場近くの路面には「歩道では自転車を押して歩く」よう呼びかけが。

しかし、全長260mの区間を自転車を押して…というよりも車道を走る、という選択をする人の方が多いようです。

正岡さんは、歩道を走ってきた自転車が、呼びかけに気づいて車道に出る時などに事故が起きないか心配だと話します。

交通量が増える朝の通勤・通学の時間帯の様子を確認してみました。ほとんどの自転車が最初は車道を走りますが、途中からは歩道に上がっています。

自転車利用者:
「危ないかなとは感じますね。やっぱ狭いんで」
自転車利用者:
「車道側を行くのも怖いよね」「車が急にきそう」

実際に、自転車で車道を走ってみると…

杉本記者:
「車との距離はかなり近いですね…うお~」

駐輪場の整備で、車道は以前よりおよそ90㎝狭くなっていて、より注意しながらの運転が必要になります。

サイクルガイド 正岡さん:
「心の中ではね、どうぞケガしないように、事故にならないように、朝はほんと自動車にしても何にしても通勤時間帯はけっこうスピードが出てますので、事故だけが心配です」

この場所では、自転車は・車道に出る時は後ろを確認してから。

そして、車やバイクのドライバーは・速度に気を付けるなど、お互いの安全運転が必要です。