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社員は高校生!「マツノイズムプロジェクト」人口減少進む町でふるさと活性化に一役

2025年1月17日 17:00
社員は高校生!「マツノイズムプロジェクト」人口減少進む町でふるさと活性化に一役

地域福祉などの分野で貢献のあった個人や団体に贈られる南海放送賞。シリーズで今年度の受賞者を紹介しています。

きょうは「高校はないけど高校生はいる」をキャッチコピーに、松野町の高校生たちが立ち上げた法人、「マツノイズムプロジェクト」です。

テーブルに並んだ梅そうめんに…桃のジャム。これらは全て松野町の特産品です。

高校生:
「これは、ふるさと納税の中に入れる商品(返礼品)です」

ふるさと納税の寄付額が県内で最も少ない松野町。町の税収アップにつなげようと、去年、新たな返礼品の開発に乗り出したのが、おととし、松野町出身の高校生13人が設立した町おこし法人マツノイズムプロジェクトです。

理事長は宇和島東高校3年の井上弘一朗さん。高校1年生から3年生まで松野中学出身の17人の“社員”を率います。

マツノイズムプロジェクト井上弘一朗理事長:
「松野町は高校がないので、高校生になっても、松野町で活躍できる場をと思い」

8年前から小・中学校を通じて起業家教育を行っている松野町。中学3年生になると全員が仮想の会社「株式会社松野中学校」に入社し、シイタケの生産管理や広告宣伝に携わり、社会の仕組みを身につけます。

また地域との結びつきも深く、中学生が町内のさまざまな場所に出向いて清掃活動を行うプロジェクトがあるほか、お年寄りと手紙のやりとりをするといった活動も盛んに行われています。

松野町に高校はありません。町外の高校に進学した井上さんたちは、引き続きふるさとの活性化に携わりたいとの思いからマツノイズムプロジェクトを立ち上げました。

キャッチコピーは「高校はないけど、高校生はいる」。町内で30年以上前に開かれていた伝説の音楽祭を復活させ、出演者の手配やキッチンカーの出店交渉なども自分たちで行いました。

井上さん:
「地元のアーティストが、演奏している音楽を聴いている地元の住民のみなさんが涙を流して喜んでくれた。そういうジーンとする瞬間を自分たちは作ることができた。松野町に少しでもいい風を吹かすことができたと思っている」

松野町の人口は県内の自治体で最も少ないおよそ3500人。35年後にはおよそ1300人にまで落ちこむと予測されています。

井上さん:
「もう、過疎は終わったと自分たちは考えています。過疎という言葉で後ろばっかり見るんじゃなくて、前を向いて」

松野町の多くの高校生が通学の足として利用しているJR予土線の存続のための活動も続けていて、愛媛・高知両県の関係者を前に、井上さんはプレゼンテーションを任されました。

(予土線シンポジウムにて)
井上さん:
「(予土線は)私たちメンバーの通学路です。予土線を残す。これは手段にすぎません。本当の目的は何か。僕は、この宇和島圏域が100年後も元気な姿で残っていること。安心できるコミュニティーが残り続けていることだと思います」

活動が継続するよう、後進の育成にも余念がありません。

井上さんがこの日、2年生“社員”の谷口さんを連れて出席したのは、教育や地域活性化に携わる団体の意見交換会です。

2年谷口舞姫さん:
「(開催した)縁日で、子どもたちに人気があって、子どもたちと触れ合ったりする中で、『あ、この活動楽しいな』と思って、そこからはずっと、楽しみに活動しています」

参加者(防災アドバイザー):
「社会人になったら松野町に帰りたい?外に出たい?」

2年谷口舞姫さん:
「1回外に出て、いろんなことを経験してから、また、いい歳ぐらいになったらふるさとに帰ってきて静かな自然といっしょに暮らしたい」

井上さん:
「町のためにやらなきゃ、という意識では続かない。『自分たちのために』、を積み重ねていって、一人ひとりが『自分たちを応援してくれる町なんだ』ということを認識していけば、帰ってきたいと思うようになると思うし」

参加者(中学校教諭):
「マツノイズムプロジェクトのやっているような取り組みが、日本のいろんなところで起こってくると、すごく社会が素敵になって、みんなが元気になっていけるんじゃないかなと思いました」

「大好きな松野を未来に残すため、挑戦を続ける」

立ち上げメンバーの社員13人は、高校卒業後も「顧問」という肩書きでプロジェクトに関わり続けます。

3年 中尾純蓮さん:
「卒業まであと少ないんですけど、何かできることがあったらこの活動を通して、松野町の魅力とかを外に発信していきたい。私たちの活動のことや松野のことが、さらに広まってくれるので、とても期待しています」

井上さん:
「より一層、この活動、そして仲間たちと自分たちの夢、やりたいことを実現できるふるさとにしていきたいと思っています」

最終更新日:2025年1月17日 17:00