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乗客数低迷で…存続の岐路に立つ「JR予土線」を守りたい!地元住民が仕掛ける1日限定“ハロウィーン列車”

2023年11月7日 19:09
乗客数低迷で…存続の岐路に立つ「JR予土線」を守りたい!地元住民が仕掛ける1日限定“ハロウィーン列車”
宇和島市と高知県の四万十町を結ぶJR予土線

宇和島市と高知県の四万十町を結ぶJR予土線。車窓からは、緑豊かな風景や清流、四万十川を眺めることができます。

しかし、乗客数は低迷し路線が存続し続けられるか今、岐路に立っています。

予土線の存続へ…地元の住民たちの取り組みを取材しました。

JRだけでなく 周辺の「道の駅」も同じ志を持って

松本駅長:
「定員60名ですね。もうそろそろ締め切りですね」

3日後のイベントに向け、最終準備を進めているのはスタッフの松本周作さん。

松本さんは、JRではなく、“道”の駅の駅長さん。

広見森の三角ぼうし 松本駅長:
「道の駅って地域活性化の施設であるのは間違いなくて、それは車とかJRとか関係ないんですよね。周辺の道の駅も同じ志を持ってくれている」

松本駅長、プライベートでは、列車で四万十市の居酒屋に通う予土線のヘビーユーザーとのこと。駅長として、住民として、予土線存続のため駆け回っています。

道の駅 四万十とおわ 中野千里駅長:
「商品は一応こちら2つ」
松本駅長:
「ありがとうございます」

ハロウィーン列車用のお菓子。予土線圏域の「道の駅」も予土線存続への思いは一緒です。

中野駅長:
「予土線の車窓からの風景とかここにしかない感じじゃないですか」
松本駅長:
「特に土佐宇和って本当にロケーションいいもんね」
中野駅長:
「そうなんです。みんなが生活道としてる沈下橋があって、そういう意味では観光ツールとして残していかんといかんなと」

1974年開通のJR予土線 一度は廃線の危機を免れるも利用者は年々減少

49年前、北宇和島駅から高知県・若井駅のおよそ76キロを結ぶJR予土線が開通。

運賃はバスの4分の1、移動時間も短縮されるとあって期待された路線でしたが、全線開通から4年後には、年間およそ8億円の赤字となり廃線の危機に陥りました。

住民の存続の動きなどもあり、予土線は『代替輸送道路が未整備』として、例外的に廃線を免れました。

その後、トロッコ列車や、SLしまんと号鉄道ホビートレインなどオリジナリティあふれる列車の運行で乗客増加に向けた取り組みを続けてきました。

しかし、利用者は年々減少し、1キロあたり、1日平均で何人を輸送したかを示す「輸送密度」は2021年が195人と、民営化以降最低となりました。

さらに、地方鉄道の多くの路線で赤字が続く中、地方公共交通の再編に向けた関連法が10月に施行され、路線維持についての議論が加速化すると予想されています。

全校生徒の半数が利用する北宇和高校 路線廃止は死活問題

地元の高校生も予土線の維持を願っています。

関本夏実さん 1年:
「町の名前が鬼北町だから鬼をモチーフにと、ほんのり思ってますね」

関本さんたち、イベントに向けJR近永駅に飾るハロウィーンかぼちゃの制作にとりかかっていました。小学校からの幼馴染の2人。松野町から予土線に乗って通学しています。

北宇和高校では全校生徒238人のうち、半数以上が予土線で通学していて、生徒たちにとって路線廃止は死活問題です。

関本さん:
「予土線がなくなったら困りますね。本気出したらチャリでいけるけど。30分ぐらい早く 家出ないといけなくなる」

挑戦列車を観光資源に ハロウィーンにはみんなで仮装して出発進行!

「ハロウィーン列車」当日。

宇和島から参加:
「(予土線は)初めてです。ずっと乗りたかったんですけど機会がなくて」

松山市から参加:
「ドラキュラです。サングラスもびしっとかけて誰の血吸ったろかなみたいな(笑)」

思い思いの仮装で、県内から51人の乗客が近永駅に集まりました。

JR予土線圏域の明日を考える会 上甲俊史マネージャー:
「(仮装は)初めてです。これから予土線に乗るきっかけになればと思います」

松本駅長:
「みんなガチなんでびっくりです。われわれも熱量が上がってきましたね、本当にこれ続けていきたいなと思ってたので」

ハロウィーン列車、一路高知県の打井川駅を目指し出発です。

参加者:
「景色がきれいで 最高です。沈下橋渡りたいなって思いました」

車窓からの風景を満喫しながら、四万十町に到着。

海洋堂ホビー館を見学し、館内のステージで自慢の仮装を披露していきます。

参加した姉弟:
「23番です。お願いします、ハッピーハロウィン」

参加した男性:
「某番組のハンターの格好しました。不審者みたいですけど普段は銀行員やってます」

参加した男性:
「(予土線)初めてですよ。ハロウィンの仮装も初めてです」

松山から初乗車の3姉妹:
「電車(列車)に乗ったことが楽しかったです」

上甲マネージャー:
「よかったね」
松本駅長:
「いろいろブラッシュアップのネタはあるけど」
上甲マネージャー:
「みんな喜んでもらっただろうし」

地域住民の足として…そして、観光資源として…予土線の存続につなげる“挑戦列車”出発です。