【能登半島地震が突き付ける】地震・津波と原発事故との“複合災害”で避難の課題 点検新潟県予算「原子力防災」 《新潟》
能登半島地震と津波警報
2024年の年明けに起きた能登半島地震。最大震度6弱の揺れが新潟県を襲いました。
さらに…。新潟県では31年ぶりに発表された津波警報。迫られた避難。
活断層“割れ残り”への不安
2月10日、柏崎市が開いた住民との意見交換会。
柏崎市 桜井雅浩市長
「課題や問題点などを率直にお聞かせいただいて、私共の今後の施策に反映したい」
地元住民
「(佐渡沖の)割れ残りが動くと、柏崎あたりに直角方向にまともに来るというようなことも言われています。(予測を)もう一度確かめてほしいなと思います」
“3メートル越える津波の恐れ”という指摘も
住民が不安視するのが、佐渡沖の活断層の「割れ残り」。今後、3メートルを超える津波が沿岸部に押し寄せるおそれがあると指摘されています。そして柏崎市特有のリスクが…。
「放射能と津波が来た時、どうするんですか」
地元住民
「放射能と津波が一挙に来た時はどうするんですか」
東京電力が再稼働を目指す「柏崎刈羽原発」。
重大事故が起きた場合
重大事故が起きた場合、原発からおおむね5キロ圏内の住民は即時避難。5キロから30キロ圏内の住民は、被ばくを防ぐためにまず屋内に退避することになっています。
能登半島地震では交通網に影響が出た
しかし、元日の地震では県内を通る高速道路の一部区間が通行止めに。主要道路である国道8号で土砂崩れが起きるなど交通網が影響を受けました。
渋滞が発生していた
津波警報の発表をうけ、柏崎市は沿岸部の9つの地区に避難指示を出しました。
地元住民
「車で移動した人が圧倒的に多かったですね」
津波避難の場合は徒歩移動が原則ですが、当時、車の渋滞が起きていたといいます。自然災害と原発事故が重なる複合災害のリスク。
「あのぐらいになったら避難できませんよ」
原発のすぐそばに位置する荒浜地区・町内会長の小野敏夫さん。原発の再稼働には賛成の立場です。ただ、能登半島の被害を目の当たりにした今、不安も口にします。
町内会長の小野敏夫さん
「(能登半島地震)あのぐらいになったら避難できませんよ。中越沖地震の時も確か道路が傷んだけれど、全く通れないということはなかったですね」
最大震度7の揺れを観測した能登半島地震。石川県では多くの住宅が被害を受けました。主要な道路は寸断され集落が孤立、救助活動が滞りました。
原子力規制委員会では新たなリスクも指摘されています。
原子力規制委員会委員
「今回の能登半島地震を踏まえて屋内退避がそもそも成立するのか」
「今までの原子力災害対策指針はそういう方面の考えが少し足りなかった」
新潟県の新年度予算では
県は住民の避難計画の実効性を高めるため、新年度も住民の原子力防災訓練に5000万円などの予算をつけ、技術委員会で原発の安全対策について議論する考えです。
原発再稼働の是非の判断を求められている花角知事は、規制委員会の議論の行方を注視したいと話します。
新潟県 花角知事
「道路が寸断され、集落が孤立したケースを目の当たりにする中で不安感をもつのは当然なのかなと思いますね。避難の考え方については規制委員会が論点整理をして議論をすると言っているので、ぜひしっかり論点整理をしていただきたい」
2024年2月15日「夕方ワイド新潟一番」放送より