【特集】北京五輪・金メダリスト平野歩夢選手の父・英功さん スケートボードの強化統括責任者として 今後の展望を聞く《新潟》

スノーボードハーフパイプで2026年のミラノオリンピック出場を目指す村上市の平野歩夢選手と海祝選手。
元アルペンスキー日本代表の皆川賢太郎さんが2人の父・英功さんにメダリストを育てた環境やスポーツに関わる人材の育成など今後の展望を聞きました。
JOC日本オリンピック委員会スケートボードハイパフォーマンスディレクター平野英功さんです。
東京オリンピックから正式種目となったスケートボード。その強化統括責任者として、選手の育成や競技の普及、さらには選手のサポートなど全面的に新しいスポーツを支えているのが平野さんです。
そして……3兄弟の2男・歩夢選手は2022年北京オリンピックスノーボード男子ハーフパイプで悲願の金メダルを獲得。
その練習拠点となったのが村上市にあるスケートパークです。
父・英功さんが地元・村上市に平野3兄弟の練習拠点として中心となって作ったのが「日本海スケートパーク」です。
〈元アルペンスキー日本代表 皆川賢太郎さん〉
「最初来た時は小学校の跡地を一生懸命にDIYして歩夢君が練習する練習場も作っていましたよね」
〈JOCハイパフォーマンスディレクター 平野英功さん〉
「そうですね。まさかその時はスポーツになるとは思ってないという……。スノーボードの一環としてトレーニングできるんじゃないかと。スノーボードもバインディング(留め具)に頼らないような滑りをしたらうまくなるんじゃないかと思ってスケートボードに目を向けてきた」
始めた頃はオリンピック種目にも選ばれていなかったスケートボードをスノーボードの練習としていち早く活用した平野さん。世界基準で作られたスケートパークには、さらに驚きがいっぱいです。
〈元アルペンスキー日本代表 皆川賢太郎さん〉
「この角度もすごいですよね」
〈JOCハイパフォーマンスディレクター 平野英功さん〉
「そうです。特に上からだと垂直に感じます」
〈元アルペンスキー日本代表 皆川賢太郎さん〉
「オリンピック種目になると国からの補助金が下りてそれが結果強化費に変わって、同時にこういったその生産性を上げるためには今度ナショナルトレーニングセンターっていって専門的な施設が必要になるんですよ。それのまさにスケートボードをやられたというのが平野さんなんですよね」
〈JOCハイパフォーマンスディレクター 平野英功さん〉
「他競技からいろいろ勉強させていただいて、いいところは取って、ただ時代も動いていますのでやはりスケートボードの良さもアピールしながら……」
さらに平野さんは、こう続けます。
「今私がやってることは私たちが歩んできた中で少しでもハードルを下げることができたらと思っています。例えば学校だったり、歩夢が中学3年生で高校進学っていう時にスノーボードをメインでやってきたのでなかなかそういう進路というものがなければアスリートとして安心できないということとか。また近くに環境がないと遠くまで行ってしまって学校を休んだりということで健康的な環境じゃないなと……」
〈元アルペンスキー日本代表 皆川賢太郎さん〉
「平野さんが平野三兄弟に最初にスノーボードを教え始めたんですか。それとも何から始まったんですか?」
〈JOCハイパフォーマンスディレクター 平野英功さん〉
「私がサーフィンが大好きで、夢はプロサーファーになりたいっていうぐらいはまってしまってサラリーマンをやめてサーフショップをやったっていうのもあって、土日は子どもをお店に連れていくような感じになるので、家の前の海でサーフィンを子どもとやるのが夢だったんですが、ある時長男が溺れて海が嫌いになって、そしたらもう次男も嫌だということで家の前でスケボーやるようになったり冬スノーボードに行くという形を選んでっていうような感じですかね」
Q)ゴールはどこに?
「どちらかというと多様性的な部分を認められてないような時代だったので……どちらかといったら申し訳なさそうにやっていたようなところがあった時代ですよね。何か得るためには何か失わなきゃいけない中で学校をおろそかになったりしたこともありますので、だからやっぱり楽しく好きなことをっていう……」
Q)村上でこういうことがしたかったのですか?
〈JOCハイパフォーマンスディレクター 平野英功さん〉
「よその環境を生かすということもすごく大事だと思って、なんでスケートパークを作ったかっていうとあのスケートパークを作って人と比べられない環境。スノーボードがうまくなるためにスケートボードを活用してなんていう形を子どもたちと話し合って決めたときに今ある環境を生かしている人は外でも環境生かせるのかなと思って、この村上の友達と遊ぶ時間があったり、いろいろな人に見てもらったり……っていうのが一番強かったですね」
地元・村上の環境を活かして世界と戦う下地を作った平野さん。さらに選手だけではなく新潟の学生たちにもすそ野を広げています。
〈JOCハイパフォーマンスディレクター 平野英功さん〉
「JWSCさんと今も一緒に取り組みさせてもらってデジタルを活用したカリキュラム指導方法なんでいろいろな施設にカメラをつけて学生たちに初心者のスクールをさせたり、または動作解析をしたりっていうことも学生たちが。我々の仕事をそのまま学んでいる。あとやはりお仕事とちゃんとマッチングしていかなきゃいけないと思いますので冬はスキー場とインターンで研修してもらって海外の人と話したり……」
〈元アルペンスキー日本代表 皆川賢太郎さん〉
「それこそスキー・スノーボード・スケートをやっている人たちが雪上のインターンをやれるなんていう環境、僕のときはなかったですけどね。今それをやられているんですよね」
〈JOCハイパフォーマンスディレクター 平野英功さん〉
「やっぱりもっと社会に夢を持って学生たちが運営するスキー場とか学生たちが作るセクションだったりキッカーだったりなんていうような、自分が自信をアスリートじゃなくてもこのスポーツが好きだったらというところの仕事を見つけようとしてやっています」
もっと社会に夢を持つアスリートを育てる……スポーツを愛する学生たちと仕事をつなげることが平野さんの務めだと話します。
Q)平野さんの夢は?
〈JOCハイパフォーマンスディレクター 平野英功さん〉
「この競技というのがアクロバティックなところも魅力の一つなのでやっぱそこはそこでこの競技性を生かしたアーバンスポーツ。ダンスであったりボルダリング・BMX・インラインスケート色々あると思うんですけど、そういうアーバンが好きな人たちと一緒に何かショー的なアーバンシルク・ドゥ・ソレイユみたいなのをやってみたいなとは思っていまして、そこにはあの映像だったりあとは音楽なんていうものもミックスさせながら人を感動させて言葉を発しないんですが感動させるというのがこのスポーツの良さだと思いますので、そういうような世界を作っていきたいなと思っています」
(2025年2月14日放送「夕方ワイド新潟一番」より抜粋)