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東日本大震災の記憶を伝承 釜石高校「夢団」1、2年生が新たに語り部としてデビュー

2024年3月26日 19:51
東日本大震災の記憶を伝承 釜石高校「夢団」1、2年生が新たに語り部としてデビュー

 釜石高校の防災・震災伝承を行うグループ「夢団」です。3月、釜石鵜住居復興スタジアムで1、2年生が語り部としてデビューしました。被災者から当時の経験を聞くなど本番まで研修を重ねました。釜石支局柳田記者の取材です。

 釜石鵜住居復興スタジアムで来場者に向けて話をする高校生。防災や震災伝承活動を行う釜石高校の「夢団」のメンバーです。3月、釜石鵜住居復興スタジアムを訪れたラグビーファンへ震災について語りました。

 夢団語り部
「命を守る最善の方法は逃げることです。『あなたも逃げて』のこの言葉の前と後にはどんな言葉が続くのか、それは、私も逃げるからあなたも逃げてまた生きて会いましょうだと私は考えます」

 夢団は、1、2年生が語り部のデビューに向けて東日本大震災の被災者から話しを聞くなど研修を重ねてきました。

 夢団は2月、妻を震災で亡くした、木村正明さんから話を聞きました。木村さんの妻は震災当時、鵜住居小学校の事務員として勤務していて、校舎に残っていたところ津波に襲われ犠牲になりました。

 鵜住居小学校と釜石東中学校の生徒が犠牲者を出さず避難したことから世間では「釜石の奇跡」と言われています。しかし、木村さんは、妻が犠牲となった中、「奇跡」と呼ばれることに苦悩したと話します。

 木村正明さん
「人間が作った釜石の奇跡という言葉によって嫌な思いをしている人が居るという事をぜひわかっていただきたい」11秒

 木村さんらは悲劇を忘れてはならないと、鵜住居小学校の跡地、釜石鵜住居復興スタジアムに「あなたも逃げて」と刻まれた祈念碑を建立しました。夢団の生徒は3日、その祈念碑の前ではじめて、語り部として東日本大震災について話しました。

 この日は新たに4人が語り部としてデビューし、予定されていたシーウェイブスの試合は雪の影響で急遽中止となりましたが、それでも集まった県内外のラグビーファンに、自分が経験したこと、被災者からの話しを聞き思ったことなどを自分の言葉で語りました。

この日は、木村さんも駆け付け、高校生の言葉に耳を傾けていました。

 釜石高校2年 板谷美空さん
「学校の先生が生徒に避難の指示を出していたこと、そして生徒たちが避難しているとき、消防士や地域の方々が生徒たちが安全に避難できるように通る道を作ってくれたこと、釜石の奇跡は事実の一部分にすぎません。そしてそう呼ばれることに苦しさを覚える人もいます」

 木村正明さん
「私が経験して話したことを自分の事としてとらえて自分の言葉で話してくれました。非常に感謝しています。素直にありがたいし、頼もしいと思います」

 板谷美空さん
「自分経験していないので、経験している人の話しを聞くしかなくて、木村さんとかを傷つけないかなとか、いろいろ言葉を紡いで工夫して気をつけながら、3年生になった時にはもうちょっと防災の事を伝わりやすくはなせたらなと」

 東日本大震災から13年。震災の記憶は次の世代へ確実に受け継がれています。

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