【独自解説】「森山裕幹事長が積極的に推したと聞いている」自民党・石破茂新総裁が一転「早期解散」表明の裏で、一体何が?高市氏・“安倍派”との軋轢を生む新人事に波紋広がる
2024年9月30日、自民党・石破茂新総裁が「衆院解散」を表明しました。早期解散を決めた裏に、一体何が?政治ジャーナリスト・田﨑史郎氏の解説です。
■「この政権は、石破・森山体制」石破新首相ついに誕生も、不安視される“時間不足”
石破茂新総裁は当初、「野党側と国会でしっかり議論をした上で解散を」としていて、2024年11月以降の解散総選挙を検討していました。ところが、自民党内から「早く解散を行うべきだ」という声があり、2024年9月30日に解散総選挙の意向を表明し、2024年10月27日に投開票を行うということです。
Q.最速で解散総選挙を行う意図は何でしょうか?
(政治ジャーナリスト・田﨑史郎氏)
「2024年9月27日に石破さんが総裁に選ばれた後から『10月27日投票説』が出てきて、すぐに決まってしまいました。恐らく判断としては、3年前の岸田さんもそうでしたが、“政権の鮮度が落ちないうちに早く総選挙をしよう”という発想だと思います。執行部では、森山裕幹事長が積極的に推したと聞いています」
Q.森山さんは派手な方ではないですが、岸田前首相もよくお会いになっていましたし、これからの小選挙区の調整を全てされた方と言っても差し支えないと思いますが、その方の意向は大変重いと見ていますか?
(田﨑氏)
「森山さんが幹事長になられて、森山さんと親しい方が国対委員長や閣僚になっているので、人事にも影響を及ぼしています。この政権は、石破・森山体制だと思います」
Q.石破新総裁は、“裏金議員”や“統一教会”の問題をどうすると思いますか?
(田﨑氏)
「今、自民党は各都道府県連に公認申請を出してくださいと言っていて、その期限が2024年10月7日で、その翌々日には解散があります。となると、申請をそのまま決めるという形になるので、果たして“政治とカネ”の問題で国民の納得を得られるような作業が行われるかというと、時間的に無理なように思います」
■「高市さんが拒否される理由もわかります」党の要職打診も固辞したワケと、軋轢を生む人事に波紋
石破新総裁は、決選投票で闘った高市早苗氏に党の要職『総務会長』を打診しましたが、高市氏は「幹事長以外はやらない」と協力を拒否したとの報道が。
Q.決選投票になると、普通は負けた人を厚遇するものですよね?
(田﨑氏)
「そうです。2011年の総裁選の時、石破さんと安倍さんが戦って、安倍さんが当選した後、石破さんを幹事長にしました。自民党では、決選投票で闘った相手を処遇するというのは、よく見られる光景です。それなのに、『総務会長』を打診となると、『幹事長』と『総務会長』はどちらも自民党四役ですが持っている力が全然違いますから、高市さんが拒否される理由もわかります」
Q.村上誠一郎氏が総務大臣になりましたが、これは“旧安倍派”と軋轢を生むのではないですか?
(田﨑氏)
「僕も安倍派の方と話しましたが、かなり怒っていました。なぜかというと、村上誠一郎さんは2022年の安倍さんの国葬の際に反対し、それだけではなく安倍さんのことを『国賊だ』とおっしゃって、自民党の党紀委員会で1年間の役職停止処分を受けました。『安倍さんを国賊と呼び、役職停止処分を受けた人を閣僚にするのか?』という反発です」
■「石破さんは論争する時間を作ると言っていたのに…」衆院選公示まで迫るタイムリミット
Q.石破さんは、どんな時も地方議員の選挙に来て、鬼気迫る応援をされます。しかし、総理大臣になると『どこでも全て回る』という訳にはいかなくなりますので、時間切れで解散総選挙に入っていくことを国民に説明する機会が十分に取れるのか…と思いますが、いかがですか?
(田崎氏)
「代表質問が2024年10月7・8・9日とあって、9日には予算委員会か党首討論が行われますが、3日間だけなので、それでは不足だろうと思います。10・11日は、石破新総裁はASEAN関連首脳会議に行ってしまうので、説明の機会はなく、15日の衆院選公示を迎えることになると思います」
Q.国民としては、石破新総裁と立憲・野田新代表を中心に政策論争をやってもらいたいですが、野田さんは野党協力する時間もなく、選挙戦になると「石破さんはウソをついた」「裏金問題はどうなった」「“統一教会”の問題はどうなった」という話に終始する可能性がありますが、いかがですか?
(田﨑氏)
「おっしゃる通りです。だから、もっと論争する時間を作ってほしいし、石破さんは作ると言っていたのに、作らないまま総選挙に突入するでしょう」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年9月30日放送)