【判決】“紀州のドン・ファン”の元妻2980万円詐欺で懲役3年6か月の有罪！ 事件から6年 9月12日に始まる殺人容疑の初公判 ポイントは“直接証拠” 事件の今までを振り返る
“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家・野崎幸助氏を殺害した罪で起訴されている野崎氏の元妻・須藤早貴被告ですが、9月2日、別の男性から約2980万円をだまし取った事件の裁判で、和歌山地裁は須藤被告に懲役3年6か月の実刑判決を言い渡しました。9月12日には、須藤被告は野崎氏殺害の罪での公判も始まります。
（この事件が起きた当時、須藤被告は19歳でしたが、殺人事件という重大事件の被告であることを考慮し、実名で報道します）
■判決理由「相手の気持ちを利用して大金をだまし取る行為の違法性を特に軽く見ることはできない」
判決文によると、「被害額が合計で約2981万円に上ること」や「被害者には、若い好みの女性の歓心を得たいという気持ちがあったと考えられるが、相手の気持ちを利用して大金をだまし取る行為の違法性を特に軽く見ることはできない」などが判決理由ということです。
この詐欺事件の概要は、2014年に須藤被告が美容学校の在学中に被害男性と知り合い、「留学の準備金などの名目で約2980万円を振り込ませた」というものです。
これまで須藤被告は「金は受け取り、ウソもついた。相手もそれをわかっていて、私の体をもてあそぶために（金を）渡したと思っている」とウソは認めていました。そして、「私が詐欺師なら被害男性は性犯罪者」と主張していました。
一方で、被害男性は「ウソだとわかっていたら金を払わなかった」と主張していました。
須藤被告の弁護側は、「被害男性は、性的接触や心理的支配を得ようと金を振り込んだ」とし、「詐欺罪は成立しない」と主張していました。
対して検察側は、「身体を触られることを承知していたのなら、触らせることで期待させ、被害者をむしろもてあそんだ。反省はなく、法廷で相手を侮辱する発言もある。須藤被告を相当期間の施設収監が必要」として、4年6か月を求刑していました。
■“紀州のドン・ファン”にまつわる3つの裁判 注目の「元妻“紀州のドン・ファン”殺人容疑」の初公判まもなく始まる
“紀州のドン・ファン”を巡る裁判には、今回判決が出た詐欺事件のほかに、野崎氏の13億円を超える遺産を巡り、親族と田辺市の間で「遺言書の有効性」を争った民事裁判があます。こちらは、先日行われた一審で「遺言書は有効」との判決が出ましたが、親族側が控訴しています。
また、須藤被告が野崎氏に覚醒剤を摂取させ死亡させたとされる殺人罪については、初公判は9月12日、判決は12月12日の予定となっています。
しかし、須藤被告が野崎氏に対し覚醒剤を摂取させたことを裏付ける“直接的な証拠”は見つかっていません。また、逮捕前の任意聴取では須藤被告は事件への関与を否定していて、逮捕後は黙秘を貫いているといいます。
そして、野崎氏の自宅などの関係先からは、覚醒剤や吸引に使う道具などは発見されていません。また、野崎氏が覚醒剤を日常的に使用していた形跡もないとのことです。
捜査関係者によると、
・自宅の台所や掃除機から、微量の覚醒剤が検出された
・須藤被告に覚醒剤の密売人と接触した形跡がある
・須藤被告に日常的に覚醒剤を使用していた形跡がない
・須藤被告がインターネットで 『覚醒剤』や『完全犯罪』に関連した情報を検索していた
などがわかっています。
事件当日を振り返ると、
・正午ごろ、野崎氏・須藤被告・家政婦の3人で昼食。
・午後3時ごろ、家政婦は外出します。この時間から家政婦が帰宅するまでは、野崎氏と須藤被告の二人きりになっていたということです。
・午後5時ごろ、野崎氏は2階の寝室へ入っています。
・午後6時前、野崎氏は1階でビールを飲み、また2階に上がりました。
・午後7時ごろ、外出していた家政婦が帰宅。
・午後8時ごろ、須藤被告と家政婦は2人でテレビを見ていました。このとき2階の寝室から「ドーンドーン」という音が聞こえたとのことです。
・午後10時半ごろ、須藤被告、家政婦の順で2階の寝室へ行ったところ、ソファの上で動かなくなっている野崎氏を発見しました。
警察によると、死亡推定時刻は午後9時頃とのことで、野崎氏が2階に上がってから死亡推定時刻まで、空白の3時間となっています。
事件から6年、須藤被告の逮捕から3年、裁判の行方は？
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年9月2日放送)
