尾上右近、松本幸四郎と “2人の特別な空気・時間を届ける” 初めての役に挑む心境を語る
右近さんは歌舞伎俳優として舞台に立つ傍ら、役者の心情を語る唄い手、清元栄寿太夫を襲名。さらに映画に出演するなど、幅広い分野で活躍しています。
日本アカデミー賞を振り返った右近さんは「賞をいただくというのはある程度、自分の中でも励みになる、それだけみなさんが見てくれていることの証明でもあるので、自分の中でも一つの区切りになりますね。背中を押されるということはあります」と話しました。
そして右近さんは現在『四月大歌舞伎』第二部「荒川の佐吉」に出演。任侠の世界に生きる男たちを描く美しくも切ない物語です。やくざの世界に憧れ大工から転職した佐吉を松本幸四郎さんが勤め、右近さんは友人の大工辰五郎を勤めます。
初めて辰五郎を勤める右近さんは「(辰五郎は)佐吉を一番そばで見て支えて、慕って、ずっと一緒にいる心の友の役です。幸四郎お兄さんの辰五郎も以前、拝見していたりとか、演目の魅力に影響力のあるお役ですので、これは幸四郎のお兄さんと友達になったつもりで、大先輩ですけども、そういうつもりで2人の特別な空気、時間というものをつくってお届けしたい」と心境を明かしました。
また辰五郎のイメージについて「僕は基本的にお兄さん方に人なつっこく関わるタイプでもありますので、人なつこっさというか辰五郎の魅力でもありますし、何か救いになったりとか支えになったりするっていう後輩でありたい姿、自分の姿が重なってくると自分なりの辰五郎になるんじゃないかな」と話しました。
最後に見所を聞くと「人と人とっていう心の交流がいかに大切か、失われて気づくことっていうのは人にはたくさんあると思うんですけど、まあ人生の教訓というのが一つ歌舞伎の演目として、ここにあるぞってことを、感じていただきたいですし、切ない話なんだけども心が洗われるというところが、荒川の佐吉、最大の魅力ではないでしょうか」と明かしました。