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『笑点』卒業の林家木久扇86歳、波乱万丈の“おもしろ”人生~①商売を学べた少年時代、座右の銘「入金」に込めた知られざる本音

2024年3月26日 20:05
『笑点』卒業の林家木久扇86歳、波乱万丈の“おもしろ”人生~①商売を学べた少年時代、座右の銘「入金」に込めた知られざる本音
インタビューに応じる林家木久扇さん
落語家の林家木久扇さん(86)が3月末で55年にわたり出演した『笑点』を卒業。笑点史上歴代最年長&最長出演記録を更新し続けてきた木久扇さんに、日テレNEWSがレジェンドたちの体験談から“未来のきっかけ”を考える特別企画でロングインタビュー。

第1弾は、木久扇さんが人に楽しんでもらう喜びを知った少年時代の思い出から、座右の銘「入金」への思いなど、今だから語れる伝えたい本音とは? 唯一無二の笑いのある“波乱万丈”の人生を、たっぷりと振り返っていただきました。

■絵を描くのが好きだった少年時代

父から生まれたわけじゃないので(笑) 母から生まれたんですけれども、日本橋の久松町の雑貨問屋の長男坊でございます。伝票の裏が白いですから牛若丸とか弁慶を描いて、おばあちゃんに見せるんですよ。おばあちゃんは「ひろちゃん」 洋(ひろし)という名前ですから「ひろちゃんは、うまいねえ」と言って、こんぺいとうとか、かりんとうとかご褒美、ビスケットとかくれるんですよ。絵を描くとギャラがもらえるって、その頃わかったんです。それから近所のおばちゃんたちにも配って、おせんべいを2枚くれたりなんかして。絵を描くということは何かもらえるって、そういうことがよくわかった。

■座右の銘は?

やっぱり「入金」なんですよね。大好きなんです。僕の家は雑貨問屋だったので、よく番頭さんとうちのおやじが、チャリンチャリンお金の勘定をしていました。それを小さい時から聞いているから、大人というものは世間からお金をもらってくるもんだということで「入金」。誰だってお札たくさん持っていると怒らないですよね。笑っています。

――好きな言葉は?

「入金」

――嫌いな言葉は?

「出金」

小さい時にすごく貧しくてね。時代もあったんですけど“食べる”ってことが大変でした。大根飯、それから豆のご飯、さつまいもを刻んでご飯って、ちゃんとした米食べてなかったんですね。代用食という言葉がありまして、トウモロコシとか、違うもので一食かぼちゃとか、そういうもので1食しのいでいた時代がありまして。とにかく小さい時から飢えの隣にいたんですね。だから戦争もそうなんですけど、飢えっていうものは人の気持ちを荒くする、貧しくする、寂しくするものなんですね。食べ物に私はすごく執着がありますね。

【林家木久扇さんProfile】
1937年(昭和12)10月19日生まれ
1960年(昭和35)8月、三代目 桂三木助に入門。桂木久男を名乗る
1961年(昭和36)八代目 林家正蔵 門下に移り、林家木久蔵となる
1965年(昭和40)二ツ目昇進
1973年(昭和48)真打ち昇進
2007年(平成19)林家木久扇襲名
2024年(令和6)3月31日をもって55年出演した笑点を卒業

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