マンガ賞を次々と受賞・和山やまにインタビュー「半径3m以内をいかに面白く描けるか」
和山さんは2020年、『夢中さ、きみに。』で第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を獲得。現在連載中の『女の園の星』は、このマンガがすごい!2021 オンナ編で1位に輝くなど今、注目されている漫画家のひとりです。展示会では和山さんをはじめ漫画家たちの原画が展示されています。
――和山さんと月刊コミックビームとの出会いを教えて下さい。
2019年にコミティアという同人誌即売会で『夢中さ、きみに。』を出した時に当時のビームの編集者さんが「単行本を出しませんか」と声をかけてくれたのが始まりでしたね。2016年ごろに他誌でデビューはしていたんですけど、そこから鳴かず飛ばずで自費出版でコミティアに出した時に声をかけてもらったので、拾ってくれるところはあるんだなという、うれしさがありました。
■代表作『カラオケ行こ!』が実写映画化
マンガ大賞2021で第3位に選ばれた和山さんの代表作『カラオケ行こ!』は実写映画化され、2024年1月に公開を控えています。映画は、ヤクザの成田狂児が変声期に悩む合唱部の中学生・岡聡実に歌のレッスンを頼むところから始まる青春ストーリー。綾野剛さんや齋藤潤さん、北村一輝さんらが出演します。
――『カラオケ行こ!』をご覧になられていかがでしたか
最高でした。原作ではない設定とかが加えられていて、「こう描けば良かったな」とか、悔しさがありましたね。それぐらいすごく面白かったです。私の作風を崩さずに足されていたので、こういうやり方があったのかという発見がありました。キャストも皆さんステキでした。特に岡聡実役の齋藤潤さんは役を自分に落とし込んで演じてくださった。聡実が中学3年生でマンガだったら読めるけど、実写だと子供すぎて大丈夫かなという不安があったんですけど、齋藤さんはそんなことなく、元々持っている存在感の大きさがあって、すごく印象的でした。
――自身の作品が映像化されることについては
不思議な気持ちで、この作品もコミティアに出した作品で、単行本化されることも想定していなかったですし、ましてや映画化なんて全然、思い描いていなかったので、タイトルをもうちょっと考えれば良かったかなとか(笑) もうちょっと詰められる設定があったんじゃないかなとか考えますけど、でも本当に映像化していただいてすごくうれしいです。
■「半径3メートル以内をいかに面白く描けるか」
これまで和山さんは変声期に悩む中学生や男子校に通うミステリアスな高校生、女子校で働く教師たちなど、様々なキャラクターを生み出し、ユーモアあふれる日常を描いてます。
――普段どんなことを考え、キャラクターを生み出しているんですか
日常を主に描いているので、半径3メートル以内にあったことをいかに面白く描けるかっていうことを考えています。外を歩いて、面白いものを見たり誰かとしゃべったりとか。でも普通にじっと座り込んで考えたりすることの方が多いかもしれません。普通に生活していく中でちょっと目を向ければ面白いことはあるんだよということを伝えていきたいですね。
――日常をテーマにしていますが、今後、描いてみたいジャンルはありますか
ホラーが好きなので、いつかはホラー漫画を。あとは食べることも好きなのでグルメ漫画も描いてみたいです。ちなみにおすしが大好物で、好きなネタはマグロとタイです(笑)