直木賞候補作に5作品 青崎有吾、柚木麻子らがノミネート
■青崎有吾『地雷(じらい)グリコ』
青崎有吾さん(32)の『地雷(じらい)グリコ』は、勝負事にやたらと強い女子高生の射守矢真兎(いもりや・まと)が、風変わりなゲームに巻き込まれていく物語。『本格ミステリ大賞』、『日本推理作家協会賞』、『山本周五郎賞』の3つの賞を受賞するなど話題となっています。
青崎さんは神奈川県横浜市生まれ。2012年に『体育館の殺人』で第22回鮎川哲也賞を受賞しデビューしました。ドラマ化された『早朝始発の殺風景』、『ノッキンオン・ロックドドア』シリーズなどを手がけ、週刊ヤングジャンプで連載中の『ガス灯野良犬探偵団』(漫画:松原利光さん)の原作も担当しています。直木賞には今回が初のノミネートとなりました。
■麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』
麻布競馬場さん(32)の『令和元年の人生ゲーム』は、新社会人になるころには自分の可能性を知りすぎてしまったZ世代の生き方を描く物語です。
麻布競馬場さんは2022年『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』でデビュー。今回が初のノミネートとなりました。
■一穂ミチ『ツミデミック』
一穂ミチさん(46)の『ツミデミック』は、コロナ禍で市井の人々が起こした犯罪を描いた6話からなる短編集です。
一穂さんは大阪府出身。2007年に『雪よ林檎の香のごとく』でデビューしました。これまで2021年に『スモールワールズ』と、2022年に『光のとこにいてね』で直木賞候補になっていて、今回が3回目のノミネートとなりました。
■岩井圭也『われは熊楠(くまぐす)』
岩井圭也さん(37)の『われは熊楠(くまぐす)』は、“知の巨人”として知られる南方熊楠の苦悩と困窮、家族との軋轢(あつれき)、学者としての栄光と最愛の息子との別離を描いた物語です。
岩井さんは大阪府出身。2018年に『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビューしました。今回が初のノミネートとなりました。
■柚木麻子『あいにくあんたのためじゃない』
柚木麻子さん(42)の『あいにくあんたのためじゃない』は、過去のブログ記事が炎上中のラーメン評論家、夢を語るだけで行動には移せないフリーター、もどり悪阻とコロナ禍で孤独に苦しむ妊婦、番組の降板がささやかれている落ち目の元アイドルなどが描かれる全6編の物語です。
柚木さんは東京都生まれ。2008年に『フォーゲットミー、ノットブルー』で第88回オール讀物新人賞を受賞し、同作を含めた単行本『終点のあの子』でデビューしました。2013年の『伊藤くんAtoE』をはじめ、『ナイルパーチの女子会』や『マジカルグランマ』などで直木賞候補になっていて、今回が6度目のノミネートとなりました。
受賞作は7月17日に発表される予定です。