高倉健さんが求め続けた“大切なもの” 愛用品や本人の言葉で振り返る 没後10年展
2014年11月10日に83歳で亡くなった高倉健さん。任侠(にんきょう)映画をきっかけにスターとなり、1978年に『幸福の黄色いハンカチ』と『八甲田山』で第1回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝きました。約60年間で205本に及ぶ映画に出演し、人々から親しみを込められ「健さん」と呼ばれています。
■高倉健さんの愛用品や作品の資料など
1984年には「不器用ですから」というキャッチコピーのCMに出演。時代が流れていく中で、健さんが演じてきた“寡黙で正しく強い男”の姿は敬遠されるようになり、それがいつしか不器用な生き方に映るようになりました。そしてパソコンに格闘するCMや国際的にも評価の高い『鉄道員(ぽっぽや)』の主役の姿は、そのイメージを決定づけました。健さんは「戦後の日本は、金をかけたものが心のこもっているものだとみんながどこかで思いはじめた時から、何かが曲がってきはじめたと思うんですよね」と語り、大切な何かを追い求めるようになったといいます。
■“素の自分”を取り戻すため旅に出る
演技とは何か、生涯ひたむきに追い求め、映画の職人に徹して生きた健さん。会場では、健さんの旅をイメージさせる愛用の品々も展示されています。トランクケースや、ジージャン、本やカセットテープデッキも。健さんは「人の優しさが溢(あふ)れている場所が好きですね。世界のいろんな所へ旅をしてみると、そういう場所にずっと浸っていたいと思うようになりますね」と語り、絆を大切にしていました。
■高倉健さん直筆のメッセージ
仕事やオフで行った旅の中でさまざまな人と出会い、生き方に影響を受けていったという健さん。「人生の喜びわ なにかを得る事でわない。得てから大事にしていく事。『めぐり逢ひ』」(原文ママ)と力強く書かれた直筆のメッセージも飾られています。2013年には、日本映画界の発展に貢献したことが評価され、文化勲章を受章しました。
「読売新聞創刊150周年記念 没後10年展『高倉健に、なる。』」は、東京・大手町の読売新聞ビル3階『よみうりギャラリー』(入場無料)で11月28日まで開催されます。平日の先着200人には展覧会の特製ポストカードが、よみうりショップで配布される予定です。