市川中車「舞台上で飲むお酒って酔う」
歌舞伎俳優の市川中車さん(55)が8日、東京・渋谷で『七月大歌舞伎』の合同取材会を行い、意気込みを語りました。
中車さんが出演するのは第一部。コミカルな対話劇「あんまと泥棒」は、1951年にNHKで放送されたラジオドラマの脚本をもとに舞台化したもの。登場人物2人で展開するユーモラスな舞台です。尾上松緑さん(46)が泥棒権太郎を勤め、中車さんは“あんま秀の市”を勤めます。
中車さんは「この芝居が持っている面白みを素直に出して、あまり笑いというものにもっていかなくてもいいのかなと、秀の市という盲目の座頭が本当に一人暮らしの一軒家に泥棒に入られたという状況を写実に出来ればなと思っています」と意気込みを語りました。
2人が共演するのは2018年以来3年ぶり。前回を振り返り「日々楽しく出来た」と話した一方、ある洗礼を浴びたと言います。
「湯飲みのお酒を吹き出さなきゃいけないシーンで、実際に必要な物ですから水が入っていたんですよ。千穐楽で松緑さんがそこにビールを入れてくれた。一口飲んだ瞬間“ビールじゃねー?”って思って松緑さんは“にやっ”て。舞台上で飲むお酒って酔うんですよ、普通の7倍くらいの速度で。最後のほうは、ホワッとしていた」と歌舞伎ではよくあるといういたずらを仕掛けられたそうです。
また、映像作品では香川照之としても活躍している中車さん。歌舞伎とのスイッチのきりかえを聞かれると「映像はやってきた慣れと経験があるのでスイッチを入れるも入れないもない。歌舞伎は基本的に体力なので発声も体力ですし肉体を器にして楽器にして足腰を支えにしているということがあるので、そこは鍛錬していくしかないので、両方スイッチを入れたり切ったりしていることではない」と明かしました。