ディズニー花火再開 責任者が語る“希望”
12月から閉園時間が夜8時から9時に延長された東京ディズニーランド。入園者数の制限など、感染対策は継続しながらも再開されたのが、ディズニー映画の音楽に合わせて夜空を彩る花火のショー『ディズニー・ライト・ザ・ナイト』です。これまで営業時間の短縮により休止となっていたため、約11か月ぶりの再開となりました。
そのショーを特別な思いで作り上げているのが、責任者の吉田直樹さんです。ディズニーの世界観を花火と音楽で表現するプログラムの責任者で、休止していた期間もいつ再開してもいいように常に準備をしてきたといいます。
■開園時から開催されてきた花火ショー 11か月の休止は過去最長
1983年に東京ディズニーランドが開園したときから開催されてきた夜の花火ショー。1日の終わりにゲストを楽しませるパークの名物として愛されてきました。これまでも震災の影響や新型コロナの感染防止のための臨時休園に伴い、花火のショーを一時休止したこともありましたが、約11か月に及ぶ休止は開園以来初だということです。
吉田さん
「1983年から花火がずっと続いてきて、11か月にわたって休止というのは今までに例がないので、やはり重みは感じました。花火って“悪疫退散”みたいな意味合いもあったりするので、なんとかコロナを吹き飛ばしてくれるというような“希望”みたいなものをお伝えできたらうれしい」
日々感染状況も変わり、先が見えない中で準備し続けてきた吉田さん。心が折れそうになったときもあったそうですが、以前パークで花火を見た大学生からもらった“あるもの”が支えになっていたと明かしました。
吉田さん
「以前(年越しの)カウントダウンの花火のあとに、パークからお便りを書いてくださったゲストがいて、“2人で見つめ合って感動して泣いちゃった”というようなお手紙をいただいて。花火だけに対しての賛辞ってなかなかもらった記憶がなかったので、すごく感動したのを覚えています」
吉田さんはその手紙をデータ化し、常にパソコンのデスクトップにはり付けているそうです。
吉田さん
「ことあるごとに読み返したりして、また花火でゲストに喜んでいただいたり、キャストにも楽しんでもらいたいなという気持ちを高めながら、より盛り上げていきたいなと思いながら業務をしています」
■迎えた再開当日 開催可否は10分前に判断−
天気や風の影響を大きく受ける花火のショー。打ち上げる場所からゲストの距離が近いこともあり、安全確認は徹底しています。そのため東京ディズニーランドでは、ショーの開催可否が最終的に決定するのはスタートの10分前。吉田さんは直前まで打ち上げ場などの関係各所と電話をして、設備の最終チェックや風向きの確認にも余念がありません。
そしてスタートの10分前、吉田さんに「通常実施」という連絡が入りました。
吉田さん
「実施決定致しました。いよいよです。だんだん緊張感が、ドキドキが増してきました…」
■ショーがスタート 花火再開にかける思い「“明日への希望”に」
天候も良く、最高の状態で再開の日を迎えた東京ディズニーランド。吉田さんはベストポジションだと語る『スプラッシュ・マウンテン』の近くで見守りました。約5分のプログラムが無事に終わり、多くのゲストを喜ばせた11か月ぶりのショー。中には涙を流すゲストの姿もありました。
吉田さん
「いやー…バッチリ上がりましたね、最高の花火が。正直ちょっとじわっときちゃいました。久しぶりにゲストに楽しんでいただけて、感極まってすごくうれしい思いです」
感激した様子の吉田さん。この花火には、ディズニーリゾートのゲストのためだけではない、強い思いがありました。
吉田さん
「全国的には花火大会などもまだ中止を余儀なくされているところが多くありますので、今夜の再開が“明日への希望”になってくれたらいいなと強く思っています」