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元宝塚男役スター・瀬戸かずや&飛龍つかさに「花組あるある」を聞いた――「花男は呼吸をするように…」

2022年11月9日 20:00
元宝塚男役スター・瀬戸かずや&飛龍つかさに「花組あるある」を聞いた――「花男は呼吸をするように…」

宝塚歌劇団男役スターで“花組のアニキ”こと瀬戸かずやさんと9月に退団したばかりの飛龍つかささん。「花組あるある」を聞くと、二人の仲の良さが分かるエピソードが飛び出した。互いに信頼を寄せる上級生と下級生の関係に、熱烈な宝塚ファンである日本テレビアナウンサーの安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が迫った。(前・中・後編の前編)

(中島アナ):お二人のプロフィールをご紹介いたします。瀬戸かずやさん、東京都出身。12月17日生まれ。2004年に90期として入団し花組に配属。色気のある大人な男役スターとして活躍し、“花組のアニキ”と慕われました。退団後はコンサートや舞台・ドラマと幅広く活動されています。

飛龍つかささん。東京都出身。10月11日生まれ。2012年に98期として入団し花組に配属。エネルギッシュなパフォーマンスと情感あふれる芝居で舞台を盛り上げてこられました。9月4日、惜しまれながら退団されたばかりです。

(安藤アナ):まずは在団中のことから伺います。花組は宝塚で最初にできた組ということで5組の中で唯一、男役さん娘役さんに「花男・花娘」という言葉がある組です。“花組らしさ”はどんな部分にあるのでしょうか。フリップに書いていただきました。

(瀬戸かずやさん):「バーベキュー大好き」。組のみんなでバーベキューをよくしていたんですよ。山奥の野原にタカラジェンヌを放つ。すると無邪気に走り回り、遊び回る。そんなみんなを見るのが私は本当に好きだったんです。

それをやり始めて恒例のイベントになりました。「またバーベキュー行きたいです」と言ってくれる声を聞くのが、すごくうれしかった。私も初めて上級生にバーベキュー開催していただいた時にはたくさん感謝しました。上級生のみなさんが組を離れた後に、こういう行事を絶やしてはいけないと思って、「じゃあ私だ」とバーベキュー担当を。

(飛龍つかささん):やってくださっていました。(瀬戸さんは)焼きそばとかを作ってくださるんですけど。私はうちわで瀬戸さんの顔をあおぐ仕事を。

(瀬戸さん):みんないっぱい食べていっぱい走り回って。いろんなタイミングでやっていたのですが、今は状況としてはなかなか集まることができなくなってしまった。私は卒業までに絶対やりたかったんです。でもうまくいかなかったので、世の中がまた落ち着いた時にはもうOGも花組もごちゃ混ぜで私は開催する予定です。

(中島アナ):そして飛龍さんはたくさん書いてくださいましたね。

(飛龍さん):「呼吸するように娘役さんに『かわいいね』と言う」「花組ポーズしがち」「娘役さんにかっこいいと言われるとテンション上がってかっこつけがち」。

(中島アナ):やっぱりかっこいいと言われるとテンション上がっちゃうんですか。

(飛龍さん):上がっちゃいますね。花組さんの男役さんたちは「かっこいいね」と言われた後に「いやそんなことないよ」というより、かっこつける方にいってくださるイメージがあります。

(中島アナ):どんな感じでかっこつけるんでしょうか。

(飛龍さん):そうですね。一番盛り上がるのは自主稽古の時です。決まった振りがあるのにもかかわらず前で見ている娘役さんに向けて、視線やウインク、投げキッスだとかをする。

(瀬戸さん):調子乗りがちだよね。

(飛龍さん):調子乗りすぎですね。今、言っていて思いました。

(瀬戸さん):でも本当にあるあるですね。当たり前すぎて思いつかなかったです。例えば、「髪型かわいいね」とか。「今日の服すごく似合っているね、かわいいね」とか。

(飛龍さん):あきらさん(瀬戸さん)はキャッチするのがすごく早いイメージがあります。

(瀬戸さん):はい。キャッチ早いです。あえて言っているわけじゃなくて本当に思うから。みんなかわいくて。(中島アナに)めっちゃかわいいじゃないですか。

(飛龍さん):今日もずっと呼吸するように(中島アナのことを)「かわいいね、かわいいね」って。

(安藤アナ):花娘になった気分にね。

(中島アナ):本当です。味わってしまいました。

(安藤アナ):お稽古中でもウインクを決めちゃうんですね。

(飛龍さん):逆もまたしかりなんですけど。娘役さんのナンバーをよく食い入るように見ていますね。どんなに忙しい時でもそこだけは見逃したくないと。今日は誰がかわいいとか素敵とか言いながら。

■「とんでもない奴が来たぞ」1年目の飛龍つかさ

(中島アナ):お二人の仲の良さが本当に分かってきました。お二人とも生え抜きの花組。瀬戸さんから見て飛龍さんはどういった下級生ですか。

(瀬戸さん):後半は結構、公演で一緒にバディを組んだり、役で一緒にお芝居したりすることが本当に多かったんです。でも花組に配属で来た時に「とんでもない奴が来たぞ」と噂の的だったんですよ。自分でも覚えている? 初めての作品でセリフがあったよね。

(飛龍さん):はい。

(瀬戸さん):兵士(役)だったんですけど、その時のパワー、芝居のうまさで周りが圧倒されちゃって。「うわ!すごいな、この子」と。もうびっくりしたんですよ。

(飛龍さん):ありがとうございます。初の大劇場作品は『愛と革命の詩』でした。

(瀬戸さん):上級生を相手に物怖じせず立派なお芝居をしてくれていて「負けてられない」とか思いました。でも新人公演ではすごい役がついたんですけどそれは「おい?どした?」という感じで。ちゃんと研究科1年目の子なんだなって。

(飛龍さん):同じ作品で水美舞斗さんの役だったんですが、さわやかな青年の役が逆にできなかった。

(瀬戸さん):ちゃんと下級生らしさも垣間見えて、本当にみんなの心を1発目でつかんで。それからは花組でずっと一緒に頑張ってくれました。ちょっと不安な言葉を発しても全部肯定して返してくれるんです。だからもう何か気分上がる。マイナスな事を言ったり「不安だな、大丈夫かな」と言ったりしていても、(飛龍さんは)「大丈夫ですよ。瀬戸さん」と。本当に呼吸するように。

(中島アナ):それは意識をされていたんですか。

(飛龍さん):特に意識はしていなくて思ったことを言っているだけなんです。ただそうして他の方に「つかさに言うといつも100%ポジティブで返してくれるよね」と言っていただいてから「そうなのか」と。私は本当にそう思っていているのに「またそう言って~!」「でた!」みたいに言われるようになって。

(瀬戸さん):そのうそっぽさもない時も本当にありがとうと思うし、ふざけてまた言い返してくれているんでしょうという時もあるし。とてもいじりがいのある人です。『マスカレード・ホテル』という作品ではバディを組んで一緒にいろんなお芝居をしました。そのときには“捜査会議”みたいに夜中までずっと話し合っていました。

(飛龍さん):セリフ量もすごく多かったですし。

(瀬戸さん):刑事役だったので「何の事件を追っているんだろう」とか「今、誰がどの容疑者なの」とか台本と小説を突き合わせて全部、紙に書き出して。「(何月何日に)ホテルでこれがあった。でも何日にはこれがあったよね。え、待って。ここは何日ブランクがあるの?」ということを時系列で組み立てて。

(飛龍さん):その時、缶コーヒーを買ってくださって本当に刑事になった気持ちになりました。

(中島アナ):セリフの量も多くて大変だったんですよね。

(瀬戸さん):そうなんです。公演のことは全然覚えてないんです。袖でいつも(飛龍さんが)F1のピットインみたいな感じでいろんなものを指に挟んで(待っていてくれる)。バっとはけたら「今日はどれですか?」と。お水・くし・スプレー・ハンカチ・ドライヤー・鏡。「何でもあります!」と笑顔でね。

(飛龍さん):本当に1分間もないぐらいの時間で髪型とかもきれいに整えられてすごいなと思っていました。でも記憶を失われていらっしゃるらしいので、私はずっと大切に覚えていきたいと思います。

(安藤アナ):飛龍さんからみる瀬戸さんはどんな存在ですか。

(飛龍さん):学年はすごく離れているのに、学年差を乗り越えてあたたかい愛で包み込んでくださる。それに尽きるんです。最高の上級生だと思います。1年でも先に行かれる上級生のお姿はもう尊敬でしかない。そこで温かく優しく気さくに接してくださるから、尊敬と愛あるフレンドリーさ、そのギャップにも心が持っていかれます。こういう方についていきたい。こういう方のそばでお芝居をしたいと思えるような上級生の方です。

だから(『マスカレード・ホテル』での)能勢さんの役は大好きな(瀬戸かずやさん演じる)新田刑事と相棒を組ませていただいて、本当に幸せな役でした。

(瀬戸さん):うれしいですね。そう思っていただけて。

(安藤アナ):瀬戸さんにとってターニングポイントとなった作品はありますか。

(瀬戸さん):長く宝塚にいさせていただいたのでいろんなポイントはあるのですが、一つ挙げるとするならば『ノクターン』。柚香光さんが主演のバウホールでの公演で私が柚香さんの父親役でした。私は新人公演でも父親や偉い人の役はしてこなかったので、これが2回目の父親役。

(飛龍さん):すごく意外ですけどね。

(瀬戸さん):だから、学年差を超えてどうやって(演じたらいいか)。父親はおひげをつけたらスイッチが入ると思って(演出の)先生に相談しに行ったら「今回の役は髭をつけたくないんだ」と言われまして。じゃあ何で父親らしさを出したらいいんだろうととても考えた作品でした。

初日に緊張して不安で、袖でもう出られないかもと思うぐらい緊張していたんです。その時に初めて「どんな私の姿でもファンの方はまるっと受け止めてくれるよな。いいや、私が本当に今思うように、思いきり演じよう」とその瞬間にストンと思えた。それで無事に舞台を務めることができたんです。その公演も本当に夢中だったのか覚えてない。一番覚えていない作品ですね。

(中島アナ):これを越えて何かが変わった。

(瀬戸さん):そうですね。この作品に挑戦させていただいたのは花組が大きく変わった時期。ちょうど蘭寿さんが卒業されて組のメンバーも本当にたくさん変わって新しい花組になるという時の作品でした。背負わなくていいものもいっぱい背負っていたんですよね。

花組の次の公演で皆さん見に来られて「どうしちゃったの?」とか絶対嫌だそんなの言われたくないとか、一人でもう肩肘張っていたんでしょうね。考えすぎちゃっていたところでストンと落ちてこの役に集中できた。そこから「大人の男の役って面白いな。どうしていったらいいんだろうな」というのは、この辺から始まりました。

(中編へ続く)


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アプレジェンヌ 〜日テレ大劇場へようこそ〜』は日テレNEWS24のシリーズ企画。元タカラジェンヌをお招きし、日本テレビアナウンサーで熱烈な宝塚ファンである、安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が、ゲストの宝塚時代・退団後の生き方に迫ります。次回ゲストは元宙組トップスターの凰稀かなめさんです。