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ベネチア・銀獅子賞の濱口竜介監督 黒澤明監督以来の快挙に「スケールが違う」

2023年9月12日 22:25
ベネチア・銀獅子賞の濱口竜介監督 黒澤明監督以来の快挙に「スケールが違う」
濱口竜介監督
イタリアで開催された第80回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した、映画『悪は存在しない』の濱口竜介監督が12日、都内で会見を行い、黒澤明監督との比較について心境を明かしました。

今回、銀獅子賞を獲得した映画『悪は存在しない』は、自然豊かな長野県で暮らす親子の家の近くでレジャー施設のオープン計画が持ち上がり、波紋が広がっていく様子を描いた作品です。

映画『ドライブ・マイ・カー』で2022年、米・アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞した濱口監督。同作でカンヌ国際映画祭の脚本賞、映画『偶然と想像』でベルリン国際映画祭・銀熊賞に輝いており、世界三大映画祭といわれる祭典の全てで賞を得たことになりました。三大映画祭のコンペティション部門とアカデミー賞のすべてで賞を獲得するのは、日本の監督では黒澤明さん以来です。

■濱口監督「黒澤監督の成し遂げたことのスケールの大きさがあらわに」

会見の中で、世界からの評価、そして黒澤監督と並び称される評価を得たことについて問われると、濱口監督は「評価ということに関しては、周りがしていただくことっていうのは変わりませんけれども、黒澤明監督、とても偉大なお名前を引き合いに出していただくような状況になったので、なんだか申し訳ないような気持ちでいるのが正直なところです」と率直な感想を述べました。

その背景について、「なぜそう思うかと言いますと、黒澤明監督の三大映画祭の受賞とアカデミー賞での受賞も含めての質問だと思うんですけれども、内容が結構違うということです。『羅生門』がベネチア国際映画祭で金獅子賞、『隠し砦の三悪人』がベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀監督賞)、『影武者』がカンヌ国際映画祭でパルムドールということで、(ベネチア、カンヌの)2つは最高賞であるということで、やっぱりそこは全然違う、スケールが違うという気がしています。比べものにならないとまでは申しませんけども、比べていただくことでかえって、黒澤監督の成し遂げたことのスケールの大きさというものがあらわになるという、そういう感覚を持っています」と明かしました。

続けて、「時期に関しても、30年にわたって賞をとられたということは、どれだけ黒澤明監督が長く質の高い仕事を続けてこられたかということ。自分は、この先どうなるんだろうということに震えているので、自分もできるだけ長く、評価をいただく必要はないのかもしれませんが、長く映画をつくり続けていきたいと思っています」と自らの今後について語りました。