【ALSデー】ALS患者・武藤将胤、目の動きだけでDJプレイ「挑戦する勇気や希望を届けたい」
6月21日は世界ALSデー。これに先駆け、ALS啓発を目的としたフェス『MOVE FES. 2023 Supported by AIRU』が18日、東京・EX THEATER ROPPONGIで開催されました。
2023年現在、有効な治療法が確立されていない国の指定難病・ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。
■企画・演出は、闘病しながら挑戦を続けるALS患者の武藤将胤さん
開催への思いについて武藤さんは「社会全体でのALSへの関心度や支援の動きは鈍化傾向にあると思います」と指摘し、「ALSの継続的な支援者の輪を広げていく働きかけをしていく事、社会全体を巻き込んでいく事が、僕らMOVE FES.のミッションだと考えています。一方で患者さんに対しては、年々ライフスタイルを明るく変えていくことが出来るテクノロジーが、脳波、アイトラッキング、合成音声、分身ロボット、メタバースなど増えてきているので、エンターテイメントの形で体感してもらい、沢山の皆様に希望を感じてもらいたいと考えています」と思いを明かしました。
■体ではなく“視線”で会場を沸かせる
2020年に気管切開の手術を受け、声が出せない状況の武藤さん。今回のフェスでは、目の動きのみでライブ演奏ができるツールを使い、DJ・VJのパフォーマンスを行いました。コラボステージでは、武藤さんの思いに賛同したAndropの内澤崇仁さん、HOME MADE 家族のKUROさん、全盲のギタリスト・田川ヒロアキさんなどと共にパフォーマンスを披露。歌詞を口ずさむ様子も見られ、MCでは音声合成技術を用いて「約1年半の時間をかけてこのMOVE FES.2023と新曲を作ってきたので、お客様の沢山の歓声と拍手、笑顔がもらえて本当に感無量でした」と笑顔でコメントしました。
有効な治療法が確立されていない中でも、挑戦を続ける武藤さん。「僕自身もALSを発症して約9年半がたち、身体機能の制約は年々増えていますが、僕自身も挑戦し続ける事で、『NO LIMIT, YOUR LIFE.』のメッセージの体現に挑んでいます。僕らが発信するこのメッセージを通じて、ALS関係者に限らず、全ての人へ挑戦する勇気や希望を届けたいと思っています。そして、MOVE FES.を通じて、継続的なALS支援の輪を広げていくことで、いつか必ずALSが治せる未来を創りたいと思います」とコメントしました。