【マイケル・ジャクソンと黒人差別で大激論】湯川れい子「なぜ、エルヴィスと敵対するの?」
マイケルには色んなゴシップがついてまわりました。1982年頃に急に肌の色が白くなったとか、1993年の少年への性的虐待疑惑など、色々なことが起きて、ある時期からマイケルはジャーナリストと一切口をきかなくなりましたので、そうなる前のマイケルです。
■「なぜそんなにエルヴィスと敵対するの?」
「エルヴィスがいてくれたおかげということもあるでしょ?エルヴィスがぶち壊してくれた白人音楽と黒人音楽の高くて厚い壁とか、エルヴィスが持ってた黒人音楽に対するリスペクトとか、すごく大きなものがあるのに、何でそんなに敵対するの?」そう聞きました。すると、マイケルは、「いや、まだ十分じゃない。エルヴィスは僕たち黒人の音楽を盗んだ」って言ったんです。そこでマイケルと色々と議論になって、私もマイケルに一生懸命私の思いを説明したんですけど。でも、マイケルは「それでも十分ではありません。じゃあ、何で黒い肌のスーパーマンはいないんですか?何で黒い肌のティンカーベルはいないんですか?全然十分じゃありません」
って言われて、ああそうなんだなって、初めてマイケルの心の奥を知る事になりました。
■1980年代 アメリカの音楽業界にあった黒人差別
確かに、『スリラー』が出た頃はMTV(ミュージックビデオを放送し続ける音楽専門チャンネル)がちょうど出来たばかりで、MTVの中に黒人音楽は入って来られなかった。やっと『ビリー・ジーン』あたりでマイケルに火がつくんですけど、それまでは黒人のプロモーションビデオはMTVにも登場しなかったぐらいまだ差別が残っていたんですよね。だから、私はマイケルには申し訳なかったって思いました。
本当に気の毒だったなと思うのは、アメリカであれだけマイケルが素晴らしい仕事をしたにもかかわらず、どこまで行っても少年への性的虐待疑惑が拭い去れない。あれは、FBIがマイケルを裸にまでして徹底的に調べて一切の疑いはなかったと、ちゃんと発表しているんですよ。でも、それを日本で報道したメディアはほとんどなかった。それを本当に気の毒だなって、そんなもんなんだなって思いますね。
あの頃(1980年頃)にマイケルが一生懸命言ってたのは、「地球が後戻りできるには、あと8年しかない。今、何とかしなかったらもう環境を元に戻すことはできない」って。死んでしまってもう十何年たちますけど。だから、じゃあ、私たちに何ができたかって分かりませんけど。でも、今も温暖化の様々なニュースを聞く度にマイケルを思い出します。