【オジ旅】藤井貴彦キャスターが同級生の須山司アナと行く新潟県燕市 200年続く鎚起の技術とは 《新潟》
藤井貴彦キャスターが、同級生の須山司アナウンサーの案内で新潟県内各地を旅する「オジ旅」。
前回に引き続き52歳の“オジコンビ”は、ものづくりのまち・燕市を旅します。
早速2人は「ものづくりの神髄」を体験するために燕市の鎚起(ついき)銅器を製造する「玉川堂」の建物の中へ……。建物は国の登録有形文化財にもなっています。
〈藤井貴彦キャスター〉
「なんかすごく素敵な香りがする」
〈須山司アナ〉
「本当に建物がすごく歴史を感じるもので、文化財にもなっているということでどういう歴史を持っているんですか?」
〈玉川堂 番頭 山田立さん〉
「銅板をたたいてやかんとか急須とかを作ることを生業にして今二百年ちょっとになるんですけど、ここに移ってきてから百年ちょっとぐらいだと思います」
〈藤井貴彦キャスター〉
「トントントントンって聞こえる……これはもしかして作業中……?この音が二百年前からこの辺りに響いていたということなんですね」
歴史のある建物の中で藤井キャスターがある物を見つけました。
〈藤井貴彦キャスター〉
「あっ。あそこにある、やかんも実際作ったものですか?あれでも右のものと左のものではだいぶ違う感じがしますけど……」
〈玉川堂 番頭 山田立さん〉
「火鉢に乗っているものはもう70年とか80年使っているもの。銅器はちゃんと扱ってれば間違いなく人間より長生き」
2人は鎚起銅器の工場へ……。
「トントントン……」
〈須山司アナ〉
「この音がすごい心地良く耳に入ってくる」
〈玉川堂 番頭 山田立さん〉
「先ほどの母屋もここも築百年を超えているんですけど、昔の人はよく考えていて天井を高くとることで音が抜けるようにとか、2階までガラス張りの変わった造りになっていますけどあかりがしっかり入るようにっていうのを考えて設計されています」
◆1枚の銅板から
〈藤井貴彦キャスター〉
「今、何の作業をしているんですか?」
〈玉川堂 番頭 山田立さん〉
「みんな自分の場所は決まっているんですけど、作るアイテムが何担当って決まっているわけではなくてパーツに分けてやることもありますし1から10まで1人の職人がやり遂げることもあります。通常こうやって本体と口と別々に作ったのはあとから穴開けて溶接をするんですけど、これはちょっと特殊な作り方で1枚の板の一体成型なんです」
〈藤井貴彦キャスター〉
「えっ。これが一枚の板からできるんですか!?すごいですね」
〈玉川堂 番頭 山田立さん〉
「作業が進むにつれて肉厚になっているのがわかると思うんですけど、叩いて延ばすんじゃなくて叩いて縮めている」
〈藤井貴彦キャスター〉
「そんなこともできるんですか!?」
製作過程を見せてもらったオジコンビは完成した銅器を間近で見せてもらうことに。
オジコンビの目の前には色の違う2つのやかん……。
〈玉川堂 番頭 山田立さん〉
「藤井さんの目の前にあるのがもう50年以上使っているもの。須山さんのほうは先月出来上がったものなんですけど、これ実は同じ色だったんです。こういう色の変化をします」
一升瓶1本分、1.8リットルが入る意外と大容量なやかん、約5分でお湯が沸くほど熱伝導率がいいのが銅の特徴といいます。
〈玉川堂 番頭 山田立さん〉
「お湯が沸くのが早いと言いましたが、熱伝導がいいということは冷たさも伝えるっていうこと。注ぐものが冷たければもう持った瞬間にキンキンになる」
“オジコンビ”にぴったりな商品もありました。 玉川堂を代表するデザイン「大鎚目のぐい呑み」です。
山田さんが特別にお酒を準備してくれました。 陶器のぐい呑みと飲み比べてみることに……。
〈藤井貴彦キャスター〉
「こっちの陶器のほうから……あ、うまいなあ」
続いて銅器のぐい吞みでいただきます。
〈藤井貴彦キャスター〉
「あっ!うまい……唇にこの銅器の冷たさが移るんですよ同じ温度の液体のはずなのに銅器のほうに入れた液体の方が冷たく感じる」
〈須山司アナ〉
「口に当てた時のまず感覚が違うからクリアに感じる」
〈藤井貴彦キャスター〉
「酒のおいしさのポテンシャルを引き出すとはこのことですよ。もちろん陶器はこれで美味しいですよ。だけどどっちに入れるかっていったら間違いなくこっち(銅器)」
続いて“オジコンビ”がやって来たのは燕市産業資料館。
ものづくりの体験ができる施設です。
〈藤井キャスター〉
「さて、これが体験できるものですか?」
〈燕市産業資料館 桑原美花さん〉
「はい、たくさんメニューをそろえておりまして、まず一つ目がこちら鎚目入れ体験といって鎚起銅器の最終工程で鎚目を整える作業をするんですがそれを体験していただくということです」
玉川堂で見てきたばかりのこちらを体験してみることに。
何のくぼみもないツルツルの状態の銅器を器具に固定して作業を行います。
〈藤井貴彦キャスター〉
「いいねこれ。今頭の中で私は『す・や・ま・つ・か・さ・に・い・が・た・い・ち・ば・ん』のリズムでやっているから」
〈須山司アナ〉
「それは、おかしいでしょ!」
リズミカルに打ち続けること約15分……。
真剣な“オジコンビ”、どんな作品が完成したのでしょうか。
◆「銅は育てる金属」
〈藤井貴彦キャスター〉
「これ実はある手心が加えてあるんですけど素手で私のタンブラー、持ってもらえませんか?」
〈須山司アナ〉
「……えっ何?何?」
〈藤井貴彦キャスター〉
「え、分かんないの!?今、持っているところだけ打ってある」
〈須山司アナ〉
「あっそういうこと!ここだけ滑らないように。なるほどこのちょうど上の半分がちょうど今自分の指先がかかっているところだけ打ってある!裏も親指のところ」
〈藤井貴彦キャスター〉
「そうすると口につけるところはすごくプレーンな感覚を得られるはずだと思って」
〈須山司アナ〉
「さすが。もう何かこのやっている間に何も考えてないような打ち方をしていたのに!」
続いては須山アナの作品。
〈須山司アナ〉
「もう私は普通にシンプルに口をつけるところだけあえて打たずにやってみました」
〈藤井貴彦キャスター〉
「あっ、何かでも1個1個のくぼみの大きさが須山のほうが大ぶりで私は細かいのをドンドンって打ってある」
〈須山司アナ〉
「これはこれでやわらかい波が感じられる」
〈燕市産業資料館 桑原美花さん〉
「例えば十円玉想像していただくといいんですけど、だんだん使っていくとやっぱりくすんでくるじゃないですか。今度そのくすみがこういった鎚目によって味わいになります。人にとってまた変わるので、そういったものもぜひ楽しんでいただきたい。銅は育てる金属です。使い手が更に育ててくれます」
〈藤井貴彦キャスター〉
「もうちょっと精巧に仕上げたいので残業させて下さい!」
燕市でものづくりの神髄を学び、歴史がある鎚起銅器の体験まで堪能した“オジコンビ”でした。
2人は次回12月13日の放送で鉄道のまち・新潟市秋葉区へオジトリップ!
新潟で活躍したあの新幹線に、思い出話が止まらなくなるほど懐かしさ満点の駄菓子店を訪ねます。