別れの季節、大きな希望を胸に卒業を迎える小学生がいます。
目が見えない、全盲の彼が心躍らせるのはピアノ。
その音色は純粋さと希望で溢れていました。

宮崎市にある県立明星視覚支援学校。
小学部6年生の鈴木旬介さん。
彼は全盲のピアニスト。

（授業の様子）
「下から4行目のとこ」
「ありました」

門川町に住む旬介さんは5歳からこの学校に往復3時間ほどかけて車で通学しています。
生まれて8カ月の頃から両目ともにまったく視力がなかった旬介さん。
ピアノとの出会ったのは2歳の頃で、両親の知り合いがくれた電子オルガンでした。

（父・尚二さん、母・信恵さん）
「スピーカーに耳をつけてその音を弾くように音を楽しんでるなという感じ、そして曲が弾けるようになっていつの間にという感じ」
「この子にとっては音だけがおもちゃ、自分が楽しめる」

聞いた音をピアノで表現する旬介さん。
ピアノは独学で、友達と遊ぶようにピアノを楽しむ旬介さんは、地元のイベントで演奏を披露するまでになりました。

（鈴木旬介さん）
Ｑ．どんなところがピアノ楽しいですか？
「みんなの前でするということです。拍手とか褒め言葉ですね」

6年生は2人クラス。
教室をのぞいてみました。

（担任　中村彩楓先生）
Q．後ろの二人はこんな感じですか？
「毎日にぎやかで楽しいです」
「頼杜君と話して遊ぶのが好き」

昼休みになると旬介さんは自らピアノの前へ。
（演奏：♪情熱大陸）

Ｑ．みなさん旬介さんのピアノどうでしたか？
「とてもきれいだったと思いました」
「まるでピアニストの演奏を聞いてるようでした」

（旬介さん）
「耳が熱くなってしまいました」

旬介さんは1年前から門川町の自宅近くのピアノ教室で音の強弱やペダルの使い方などを学び始めました。

（中田ピアノ教室　中田恵美子先生）
「全盲で、また独学でここまで弾けてるのはすごいなと思いました。旬介くん自体が素直で明るい子なので音も素直な音を出してますね」

そんな旬介さん。
4月からは同じ学校の中学部へ進みます。

（父・尚二さん、母・信恵さん）
「地域であったり福祉の面でお世話になってるというのもあって、少しでもこの子ができる得意なことでこれからお返し出来たら…本人もそういう自覚をもって成長してもらえたらと思いますね」

先月4日の全校朝会。

（旬介さんの発表）
「みなさんは将来の夢はありますか？世界中を旅するピアニストになりたいです。そして聞いた人たちを元気な気持ちにしたいです」

（鈴木旬介さん）
「日本全国い～っぱい人がいることろにいきたいです。大歓声のあるとこまでいきたい！外国、海外でもライブしたい。今はそう願っているところです」