2月も値上げラッシュ 「食品が安い」ドラッグストアのカラクリ スーパーは奇策
2月も値上げラッシュが止まりません。調査会社によると、5000品目以上が値上げします。こうした中、より安く食品が買え、食品が売り上げの3割ほどを占めるというドラッグストアが注目されています。お得に商品を買うことができる理由を取材しました。
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埼玉・吉川市のスーパーマルサン吉川店を取材すると、買い物客からは、ため息が聞こえてきました。
買い物客(20代)
「ケチャップとか調味料系も上がっているので、つらいですよね」
買い物客(50代)
「この子の時代はどうなっているんだろうと。これだけ上がってくると」
帝国データバンクによると、2月に値上げした食品は“食卓に欠かせない”冷凍食品、ケチャップ、ソース、お菓子など約5500品目で、2022年10月に次ぐ多さです。
加速する一方の値上げラッシュに、買い物客からは「調理法とかで、何とかしのいでいる」、「減らすところを探すとなると、おやつとかになっちゃいますよね」という声が聞かれました。
東芝データの調査によると、全国のスーパーにおける平均購入数(2022年)は2年前と比べると、1品減少しました。
スーパーマルサン 齋藤元宏・常務取締役
「値段が上がってくれば、結果として、買う量を減らすとか。そういう動きになっているのではないかと。生活防衛的に」
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スーパー側も買い控えを実感する中、食品を買う選択肢の1つとなっているのが、「ドラッグストア」です。東京・新宿区のツルハドラッグ高田馬場店を取材しました。
――結構、買っていますね?
80代
「5個。これ98円だっていうから、買っているの。これくらいの値段なら、いいかなって」
クーポンを利用して、さらにお得に買い物する人もいました。
40代
「スーパーで特売とかの方が安かったりすると、スーパーで買ったりするけど。だいたい、こういうの(飲料は)こっちの方が安かったりするので、クーポンもあったりするので」
経済産業省が発表した商業動態統計によると、今やドラッグストアの売り上げの3割ほどを食品が占めています。なぜ値上げラッシュが続く中でも、ドラッグストアは安さを維持できるのでしょうか。そのカラクリが、お客さんの行動から見えてきました。
2リットル入り127円のお茶を買いに来たという女性は、実はドラッグストアをはしごしています。
50代
「こっちの方が安くなっている時があるので、何軒か見て」
値上げに備え、自宅には水、お酒、調味料など、ドラッグストアで買った物を大量にストックしています。きょうのお目当てをゲットすると、他の売り場を気にしながら、生活用品売り場へと移動しました。
50代
「これを買い、“ついで”に他にも足りないものがあったとか見て」
実はドラッグストア側は「ついで買い」を狙い、食品の価格を安くしているのです。
ツルハ 広報・渡邉雅史さん
「ドラッグ商材を購入しに来られて、食料品を購入されるお客様が多いのかなと感じています。(食品は)“ついで買い”できるような価格に設定しています」
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ドラッグストアが値上げラッシュに“価格”で対抗する一方、スーパー側も“アイデア勝負”に打って出ます。
東京・世田谷区の「Odakyu OX祖師谷店」を取材しました。売り場には食材が入ったカートが置いてあり、料理に必要な食材があらかじめセットになっています。後は肉など生鮮食品を少し追加するだけで買い物が済む「商品カート」を、1月から売り場に設置しました。
Odakyu OX祖師谷店 片山英樹店長
「『すぐ買い物終わらせたい』とか、『(料理を)時短で終わらせたい』という要望もあったので」
「時は金なり」。時短につながるだけではなく、食材の買いすぎを防げて、節約につながるとの声もあがりました。
お客さん
「いろいろカゴに入れて、食材が残ってしまうとか、予算オーバーしちゃうことがあるので、ああいうのは便利だなと」
買い物が少し楽しくなる工夫で、値上げラッシュに対抗したいとしています。