日銀・黒田総裁「家計の物価許容度」発言から初会見(3)
日銀の黒田総裁は17日午後3時半からの会見で、「家計が値上げを受け入れている」とする講演での発言について問われ、次のように述べました。
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――家計が値上げを受け入れているとの講演での発言で総裁が伝えたかった内容とは。また、足下の物価上昇が家計・日本経済に及ぼす影響と日銀の政策対応は。
ご指摘の発言につきましては、家計が自主的に値上げを受け入れているという趣旨ではなく、苦渋の選択としてやむを得ず受け入れているということは十分認識している。
家計の値上げ許容度が高まっている、あるいは受け入れているとの表現は、全く適切ではなかったと考えており、撤回したところであります。
もとより日銀は常日頃から物価統計だけでなく、生活意識アンケートなどの各種サーベイ調査、企業からのヒアリング情報など、幅広いデータや情報をきめ細かく点検しております。
最近の物価上昇が家計の行動に及ぼす影響について、いっそうきめ細かく把握するとともに、私どもの真意が適切に伝わるよう、丁寧な情報発信に努めてまいりたい。
先日の講演では、デフレ期以降、企業が十分に価格転嫁できない状況が続いてきたが、こうした状況が変化する可能性について申し述べた。
そのためには何よりも賃金の上昇が必要と繰り返し指摘しており、該当箇所も賃金上昇の重要性を強調する文脈の中で言及したものだ。
わが国経済は感染症からの回復途上にあるうえ、資源価格上昇という下押し圧力も受けている。
こうした中で、賃金の本格的な上昇を実現するためには、金融緩和を粘り強く続けることで、経済をしっかりサポートしていくことが必要であると考えている。