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コロナ禍でも好調「農泊×ワーケーション」

2022年1月3日 7:02
コロナ禍でも好調「農泊×ワーケーション」

かつては外国人観光客や小中学生向けが主流だった「農泊」体験。最近では「ワーケーション」の場としての「農泊」が注目されています。その人気の秘密とは…。

■コロナ禍でも利用者を増やす「農泊」エリア

「農泊」での「リモートワーク」をいち早くPRした宮城県刈田郡蔵王町。ここでは1棟まる貸しの別荘に、密を避けつつ滞在する家族や友人同士をしばしば見かけます。昼間は備え付けのベランダで自然を感じながらリモートワークで仕事をし、仕事終わりには夕飯がてら蔵王酪農センターにあるチーズ作り体験を楽しみます。土日などの休日には、蔵王ならではのウインタースポーツを…こんな日々を過ごすことができるのが農泊です。

コロナ禍で日本の旅行業界は大きな打撃を受け、多くの農泊地域でも利用者が減少した中、この蔵王地域では「リモートワーク」のPRで利用者を増やしました。

年間宿泊者数はコロナ前の2019年の約7200人から、今年は約3万5000人(見込み)に急増したということです。リモートワークに対応するためにWi-Fiや作業できるスペースを迅速に整備したことなどが実を結び、仕事をしながら滞在する人は20代から50代に及びます。

「環境が良いので、より仕事に集中できる。生産性も上がった。地方なので電波の心配もあったが、通信速度も問題がなく仕事を円滑に進めている」──というポジティブな感想を持つ利用者が多いと、蔵王農泊振興協議会事務局の担当者は話しています。

農泊での滞在をきっかけに、今年は移住も増えました。2021年の物件購入10組のうち、移住者7世帯(二地域居住含む)が農泊・ワーケーションを経験した世帯だといいます。

このように、蔵王地域では実際に農泊を通じて地域の文化に触れ、何度も滞在したうえで、移住を決めるという流れが出てきています。

■キーワードは「関係人口」

長野県の飯田市は、市と民泊予約サイトのAirbnb、南信州観光公社がパートナーシップを組むことを発表しました。新しい旅行の在り方として農泊をプロモーションすることや、農泊を軸にした観光コミュニティーの構築を目指しています。

飯田市では長年、小学生向けなどの教育旅行としての農泊に取り組んできました。そんな農泊のノウハウを持つ飯田市との提携について、Airbnb広報の松尾崇さんは「民泊・農泊を普及するうえで、地域に合った経済活動が必要」と話します。

「関係人口=観光以上移住未満の特定の地域に携わる人」がキーワードで、地域との接点を提供しつつ経済的な機会やつながりを構築していくと話します。

■多拠点生活を求める人々との相性は抜群

農泊を推進している地域の多くは地方創生の一環として、関係人口構築や、移住者を増やすことを目標としています。農泊地域でワーケーションができる地域は、今全国で約30か所。農林水産省は、農泊推進に向けてワーケーション対応に向けた支援も行っており、対応施設の増加を見込んでいます。

コロナ禍で働き方や旅の形も変わってきました。昨年度はGoToトラベルの対象ともなった農泊。農泊を入り口にして、何度も訪れ滞在し、気に入れば移住する。農泊は、人生の選択肢を増やすような旅行になってきています。アフターコロナに向けた旅行業界の取り組みの中で、今後ワクチン接種も進み、密を避けつつ楽しむことができる「農泊」は需要が出てくるでしょう。

農泊は旅行者にとって地方移住の第一歩につながり、全国の農泊地域が農泊を入り口として地方創生を進めていく、そんな未来がすぐそこまできているのかもしれません。あなたも「農泊」旅行してみませんか?

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