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XR領域での日本の存在感と今後の展望【SENSORS】

2024年3月14日 21:17
XR領域での日本の存在感と今後の展望【SENSORS】

XR(クロスリアリティ)とは、現実と仮想の世界を融合し、新たな体験を実現するテクノロジーだ。現状、XR業界において、日本のプラットフォームやコンテンツは、どのような立ち位置にあるのだろうか。XR領域で活躍中のアーティストや、XRデバイスの開発を手掛ける会社の代表ら3名が集まり、現時点での課題や今後の展望について語り合った。

■VRやAR、XRを受け入れる土壌がある

ViXion株式会社 テクノロジー・エヴァンジェリストの近藤 義仁さん、通称「GOROman」は、かつてMeta社にパートナーエンジニアとして勤務。その経験に基づき、巨大プラットフォーマーが日本をXR市場としてどう見ているかについて、次のように説明する。

「かつてMeta社は日本にはXR市場がないと見ていました。『Meta Quest(Meta社のVRヘッドセット)』を日本で販売する予定がなかったのです。しかし私自身は、日本にはVRやARを題材にしたコンテンツが多いと捉えていました」

「例えば『ソードアート・オンライン』『.hack』『電脳コイル』といった作品などがその一例です。このようなコンテンツに着目し、日本には、VRやARを受け入れる土壌がある、コンテクストを共有しやすいのでは?と考えた私は、Meta社に対してMeta Questを日本で販売するべきだ、と繰り返し説得しました」

「その結果、日本でも販売が始まって、蓋を開けてみたら家電量販店さんでも売られるようになるなど、大きな反響を獲得できました。プラットフォームの力で言えば、GAFAが強力ですが、日本はコンテンツという切り口ならば、XR領域でファンを獲得し、存在感を示していけるのではないか、と考えています」

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VRハードウェア開発・販売を手掛ける株式会社 Shiftall(シフトール)代表の岩佐琢磨さんも、「カルチャーの側面では、やはり日本は強い」という考えを示す。

「例えば海外で開発された、あるVRデバイスがあります。もともと人体に装着することは考えていなかったようなのですが、日本のユーザは体にデバイスを装着して自分の体の動きの通りにアバターを動かす使い方を編み出してしまい、それがそのVRデバイスの世界で当たり前の使い方になってしまった。現実空間とバーチャル空間の身体の動きを同期させてなりきる、といった使い方です」

「新たなコンテンツを作り出していくのが非常に得意ですから、その点にかなり期待しています」

■日本のコンテンツやアートは世界から需要がある

VRアーティストのせきぐちあいみさんは、今後の展望について次のように述べる。

「VRアーティストの活動を通じて、日本のコンテンツやアートなど、世界中から受け入れられている、需要があると、如実に感じています。XRで国境に関係なく新たな体験を提供し、体験者の創造力を解放する、といった取り組みを進めています」

「例えば、異なる国同士の子供たちに、同じ空間でものづくりなど、一緒に作業をしてもらうんです。VRの中だと、すぐ隣にいるかのように感じられます。言語を超えて、共にものをつくる体験を通して『遠くにいる、異なる文化の人と、お互いに同じ人類なんだ』といった実感を持つことができます」

「アートやエンタメの力で、XRが人類にとってすごい力を持っていることを、もっと広く知ってもらいたいなと思っています」

■バーチャル空間の重要性が高まる

岩佐さんは、XR技術の普及により、バーチャル空間に生活の比重を置く人が増えていく未来をイメージしているという。

「今までは、バーチャル空間はどうしても、リアルのサブとして扱われがちでした。しかし今後は、バーチャル側により比重を置く人たちの数がもっと増えていき、それが当たり前になることを期待したいです」

「バーチャル空間で仕事をして、しっかり収入も得ている、友人関係もある―――。そんな新たなライフスタイルも、これからはどんどん創出されていくのではないでしょうか」