【解説】企業の賃上げは好調も…「実質賃金」24か月連続マイナス いつプラスに?
働く人1人あたりの賃金に、物価の動きを反映させた「実質賃金」は、24か月連続マイナスとなりました。
厚生労働省が発表した毎月勤労統計3月分の速報値によりますと、一人あたりの3月の給与は平均30万1193円で、前の年の同じ月と比べ0.6%増え、27か月連続の増加となりました。
しかし、物価の変動を反映させた実質賃金は前の年の同じ月と比べ2.5%減少し、過去最長の24か月連続で前の年を下回っています。
厚労省は「基本給の増加が続いているのは良い傾向なので、物価と賃金の上昇の状況を引き続き注視したい」としています。
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経済部デスクの渡邊翔記者に聞きます。企業の賃上げは好調ですが、実質賃金はいつプラスになるのでしょうか。
エコノミストに取材すると、好調な賃上げがデータに反映されるのには少し時間がかかるので、夏から秋にかけて実質賃金がプラスに転じるとの見方が大勢です。
ただ、懸念材料は最近の歴史的な円安です。円安によって物価高がさらに進めば、賃上げの効果に水を差し、実質賃金がプラスになる時期が遅れることになります。となれば消費も鈍り、企業の利益も減少。賃上げの余力もなくなってしまうことにもつながりかねません。