給与アップでも節約? “物価高”に賃上げ追いつかず…「実質賃金」23か月連続の減少
物価高に賃上げが追いつきません。給与に物価を反映させた「実質賃金」が、23か月連続で前の年を下回りました。物価高などで倒産が増えているゲームセンターでは、楽しんでもらう方法を変え、物価高に対抗していました。
満開の桜に誘われ、都内の公園でパンを頬張る女性に話を聞くと…
会社員(20代)
「毎月の給料は多くないんですけど、今年4月から基本給が上がる」
今月から、会社が“賃上げ”したといいますが…
会社員(20代)
「物価高いなって感じていて。(給料)上がるのも、ほんの気持ち程度なので、生活が豊かになるかっていうと、そこまでではない」
結婚して1年の男性は…
会社員(20代)
「“お小遣い制”になりまして。『今月は1万円でやりくりしてください』って。食費を、おにぎり握ったり、節約していこうかなと思ってます」
8日に中学校に入学した男の子は、2年前に42年ぶりに値上げしたあの商品について、「物価高」を実感していました。
新中学1年生
「『うまい棒』がすごく高くて。だいたい50円くらいいつも持っているから、5本買いたいんですけど、4本しか…」
母
「初期費用もかかりますし、通学の費用もあるので、これから頑張って貯(た)めていったりとかしないといけないなと思ってます」
人々が物価高を実感する中、それを裏付けるデータが、8日に厚生労働省が発表した2月の「実質賃金」です。
「実質賃金」とは、1人あたりの賃金に物価の動きを反映させたもので、これが23か月連続で前の年を下回り、物価の上昇に“賃上げ”が追いつかない状況が続いていることがわかったのです。
飲食店を経営しているという男性は、お店を守るため、コストの削減に日々奮闘しているといいます。
飲食店経営(40代)
「肉類とかは、なるべく安く手に入れようかなと。1日2軒、3軒(スーパーを)回ったりしてますね」
しかし、こんな厳しいデータも明らかになっています。
東京商工リサーチは昨年度、全国の企業9053件が倒産したと発表しました。前年度より31.5%増えていて、9年ぶりの多さだといいます。
「パン屋」でも、前年度の約2倍と、倒産件数が急増しているのです。(※2022年度:20件 2023年度:37件)
倒産件数を押し上げた要因として、国などのコロナ禍の支援が終了したことに加え、「物価高」も要因の1つだといいます。
そして、物価高の波は、都内のゲームセンターにも押し寄せていました。
ME TOKYO SHINJUKU 坂本龍春さん
「景品を仕入れる際の購入額が上がってしまうと、お菓子の部分で(影響が)出ます」
帝国データバンクによると、ゲームセンターはこの10年間で、倒産や休廃業などを理由に、全国で8000店近く減少したといいます。
そんななか、この店ではクレーンゲームにある工夫がありました。一般的なアームではなく、“フックでつり上げる形式”のクレーンゲームを導入したのです。
ME TOKYO SHINJUKU 坂本龍春さん
「あちらのフックを、輪っかに引っかけていただくと、景品が下に落ちる。意外と“惜しい”が続いたりすることが多くて、ただテクニックを知らなくても、初心者の方でもプレイしやすい台になっているので」
そこで、クレーンゲーム初挑戦のスタッフが体験してみると…
「結構いいんじゃないですか」
「ああーー! ええーー」
結果は、10回連続で失敗。
店は、娯楽にお金を使う客が減っていくなかでも、景品の質を落とさず、新しい楽しみ方を提案することで、客に選ばれる店にしたいということです。