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日本銀行 2015年の金融政策は

2015年1月3日 22:38

 日本銀行は2014年10月、金融政策決定会合で1年半ぶりに金融政策の追加緩和を決定した。日銀は2013年4月、就任したばかりの黒田総裁が“異次元の金融緩和”と呼ばれる大規模な金融緩和策を決断し、市場に出回るお金の量を増やしていたが、今回の決定でそれをさらに増やすこととなった。

 しかし、この決定は黒田総裁を含む全9人の政策委員からなる会合で賛成が5人、反対が4人という実はギリギリの多数決だった。それでも日銀が追加緩和に踏み切った要因は“物価を上昇させる”という日銀の目標が大きく関係している。

 一般的にモノの値段が上がると企業の業績は良くなる。企業の業績が良くなると、そこで働いている人の給料が増える。給料が増えると、買い物にお金を使えるようになる。そうすると再び、物の値段が上がる。安定した物価の上昇によって経済の好循環が続くことで長年続いているデフレから脱却し、日本経済を良くしようというのが日銀の狙いだ。日銀はそのため、物価を前年と比べて2%ずつ安定的に上昇させる「2%の物価安定目標」を掲げている。

 しかし、消費税増税後の駆け込み需要の反動減や、原油価格の下落などが物価の上昇を妨げていて、これらの要因が続く場合、デフレからの脱却の動きに遅れが生じるリスクがあるとして、日銀は追加緩和に踏み切ったのだ。その後、日銀の思惑通り円安・株高が進んだものの、原油価格の急落などにより現在の物価上昇率は消費税増税の直接的な影響を除き前年比で0.7%程度となっている。

 また、目標達成時期の見通しについて黒田総裁は2014年12月の会見で、「2015年度を中心とする期間に達成する可能性が高い」としたが、多くの市場関係者は急落する原油価格などを要因に、「2015年度中の目標達成は困難」と予想する。追加緩和決定後の会見で「今がデフレ脱却の正念場」と話した黒田総裁。2%の物価安定目標実現のためには「できることは何でもやる」と更なる追加緩和の可能性を否定しなかった。

 2015年、果たして日銀のシナリオ通り物価が上がり経済の好循環が実現するのか。日銀は再び大きな決断を求められるかもしれない。