「日本最大の危機」少子化に“支援策” 「こども未来戦略」22日に閣議決定
政府は少子化を「日本最大の危機」とする中、「こども未来戦略」を22日に閣議決定します。家庭からは支援に喜びの声があがる一方、ある懸念もあるといいます。
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埼玉県に住む川上さん。この日の夕食はキムチ鍋です。
二男
「おりてきて!ごはんの準備するよ!」
二男のかけ声で子どもたちが集合。
「いただきまーす!」
川上家は子ども4人の6人家族です。
長男
「大学2年生と…」
長女
「大学1年生です」
二男
「高1です!」
二女
「高1です」
大学生が2人に双子の高校生。“食べ盛り”もいるので、鍋の日は食材を5回追加することもあるといいます。
お金を貯めて「やりたいこと」をやらせてきたという川上さん。政府はこうした「3人以上」の子どもがいる家庭への支援を拡充しようとしています。
政府が22日に閣議決定するのは、総額3兆6000億円規模の「こども未来戦略」です。「最大の危機」と位置づける少子化改善を目指します。
家庭への支援として注目されているのが児童手当です。所得制限を撤廃し、対象を中学生から高校生の年代まで拡充。さらに、子どもが3人以上いる「多子世帯」には、所得制限なしで大学の授業料を“無償化”します。
6人家族の母 川上園美さん
「ただただ率直に、いただけるのはありがたいなっていう思いはあります」
ところが対象となる「多子世帯」の基準には、落とし穴もあります。
例えば「大学無償化」の対象になっている川上さんの場合、長男と長女が仕事に就くと、「扶養している子ども3人以上」という条件から外れ、2人分の授業料がかかることになるのです。
4人分の教育費は用意してあるという川上さんですが、不安も抱えています。
6人家族の母 川上園美さん
「その制度がずっと続くものなのかどうか。(手当がなくなると)『ここでこういうお金が入るからなんとかなる』って思っていた子育てをしている方が困ってしまったりってのもあると思うので」
こうした金銭的援助に加え、政府が課題とするのが「男性の働き方改革」です。
礒部祐輔さんは、一人息子を育てるため、今年1月まで3か月間の育児休業を取っていました。
会社では育休中にもらえる給料の計算ができるツールを作り、育休取得者に1か月5万円の手当を支給。さらに、上司の理解を深める説明会を開くなどしたことで、育休の取得率が5年で0%から100%になったといいます。
技研製作所 簑田美紀執行役員
「『男性がお休みを取る』ということだけではなくて、その先にある『女性の活躍推進』、そしてまた『少子化対策』『女性の体のケア』を行う」
育休を取ったことで、“意思を示す”ようになった息子の成長をより感じられるという礒部さん。今、夫婦が感じていることは…
礒部櫻子さん
「(育休中に)いろいろ相談できたから、今も協力して子育てできている」
礒部祐輔さん
「育休は同僚の理解と協力があってこそ成り立っていると実感しました」
政府関係者は、少子化対策には「男性の働き方改革こそが喫緊の課題」だといいます。「少子化を抑えるラストチャンス」と言われる中、子育てしやすい社会の実現へ今が正念場です。