<解説>物価高の苦境を乗り越えろ!徹底したデジタル化で変わるスーパーマーケットの最新事情
■物価高でスーパーマーケットは
物価高が小売業の収益に打撃を与えている。原材料価格や輸入価格が高騰しても、消費者は商品の値上げをそのまま受け入れて同じように買ってくれるわけではない。値上げを要請するメーカーと消費者との板挟みにあり、値上げ分全部を価格転嫁することはできていない。
また、店舗の光熱費や人件費、物流費も上がっていて、これはそのまま店舗側の負担となる。
コロナ禍で、冷凍食品やお総菜など家で簡単に食べられるものなどが売り上げを伸ばしたが、全体としてはコロナ前より低調だ。昨今の物価上昇で収益はより厳しくなりそうだ。もし、スーパーが閉店すると、地域住民の日常の買い物や生活に大きく影響する。経済産業省はスーパーマーケットの今後について検討会を始めた。鍵を握るのは徹底したデジタル化だ。
■「USMH」のScan&Goシステム
マルエツやカスミなどを展開する「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」の店舗で使われているScan&Goシステム。コロナ禍で2年前から広がっている。
このシステムは、自分のスマホに専用アプリを入れるかお店のスマホをカートにつけ、商品を選ぶごとにスキャンする。そのまま、ワンタッチで会計ができ、駅の改札を通るくらいの速さで支払いが終わる。登録したクレジットカードから引き落とされ、レジ待ちの必要がなくなる。
事前にネットで商品を選んでおいて、店内の専用コーナーで受け取ったり、宅配してもらうこともできる。
また、デジタル・データを使って顧客が選んだ物の栄養価を分析し、栄養不足を補うための野菜や食品などを「お勧め」もしてもらえる。
さらに今計画中で、消費者の利便性に役立ちそうなのが、お目当ての商品がある場所を検索するシステムだ。棚にアドレスをつけ、スマホなどでほしい商品を打ち込むとどの棚にあるかすぐにわかるようにする。今は従業員が実験を始めた段階で、来年、Scan&Goに搭載される見込みだという。