海外政治リスク乗り越えろ 17年株式市場
「申年は騒ぐ」という相場の格言通り、大荒れの展開となった2016年の株式市場。イギリスのEU離脱をめぐる国民投票やアメリカの大統領選挙など、政治的な出来事が市場を揺るがす場面も多かった。そして、2017年も、海外の政治動向は日本経済に大きな影響を与えそうだ。
【“まさか”の連続だった2016年】
「“まさか”が立て続けに起こった1年だった」。ある市場関係者は、この1年を振り返っての感想をこう述べた。1月は中国の景気減速や原油安への懸念から、戦後初めて年明けから6営業日連続で値を下げ続けた。市場の動揺を受け、日銀はマイナス金利の導入を決定したが、かえって金融緩和の限界が意識される事態となった。
6月にはイギリスの国民投票でEU離脱派が勝利。世界中に衝撃が走り、日経平均株価は一日で1286円も値を下げ、円相場は、一時1ドル=99円まで円高が進んだ。
11月には、アメリカの大統領選挙で予想外のトランプ氏勝利。先行きの不透明感から、一時は日経平均株価も急落したが、その後は、トランプ氏の掲げる経済政策への期待感から値を上げている。
1年を振り返ると、日本経済は海外の動向に大きく振り回されたことが分かる。
【期待と不安が入り交じる2017年】
2017年は、株式市場にとってどんな年になるのだろうか。1つ目のカギを握るのは、トランプ氏の政治運営だ。減税やインフラ投資など、トランプ氏が掲げる経済政策に市場は期待感を寄せている。世界的な株高を背景に消費者のマインドも良くなるのではないかという期待もある。しかし、トランプ氏の移民政策や保護主義的な政策には懸念を抱く投資家も多く、トランプ氏が大統領になったとき、「実際に何をやるのか」が大きな注目点だ。
2つ目のカギはヨーロッパだ。イギリスの“EU離脱”で揺れたヨーロッパでは、2017年も政治イベントが相次ぐ。3月のオランダでの選挙をはじめ、フランス、ドイツなどで選挙が行われる予定で、再びEU離脱派が盛り上がり、政治的不透明感が増すのではないかと懸念する声も少なくない。
【足腰の強い日本経済に】
景気回復への期待と“海外の政治リスク”への不安が入り交じる東京株式市場。この荒波を乗り越えるには足腰の強い日本経済をつくっていくことが重要となりそうだ。