先行き不安、経営陣に不信感…東芝社員語る
原発事業をめぐって巨額の損失を計上する東芝は、14日に予定していた決算発表を急きょ、取りやめた。異例の混乱が続いている東芝の現役社員からは、先行きに不安の声がふき出している。
今週、NNNはある男性を取材した。東芝一筋で働いてきた50代のベテラン社員だ。
会社を揺るがす巨額の損失について聞いたところ、「びっくりしたっていうのが正直なところで、損失といいますか、そういう話も“寝耳に水”という感じですね」と語る。
去年12月27日、「巨額の損失が生じる」と明かした東芝。
その当日、綱川社長から社員へメールが送られた。
「今回の件で動揺することなく、引き続きそれぞれの業務に取り組んでいただくよう、よろしくお願いいたします」
このメールを見た男性社員は「特には、もうスルーしたという感じですね。どこまで本当のことを言っているのかなってところが、かなり不信感と言いますか」と、経営陣への強い不信感をあらわにした。
そもそも、この損失はアメリカの原発子会社が買収した会社で、原発建設のコストなどが想定以上に膨らんだことで発生。実は、東芝の経営幹部らにとっても「寝耳に水」の事態だった。
東芝は2015年に発覚した不正会計問題の後、経営体制を一新。グループ会社の売却など1兆円規模のリストラを断行したこともあり、業績には改善の兆しも見えていた。その矢先で、さらに大きな危機にさらされた。
今の東芝の最大の焦点は「資本」を「負債」が上回る「債務超過」に陥るかどうかだ。もし、今年3月末時点で債務超過となれば東芝の株は東証2部へ降格。株価の下落や資金繰りが難しくなるなど、経営危機は深刻さを増す。
このため東芝はまず、稼ぎ頭のフラッシュメモリーの半導体事業を分社化して新たな会社の株式を一部売却し、債務超過を回避する資金にしたい考え。
しかし、現役社員の男性は今後への不安を隠さない。
「長い目で見た時に会社的にどうなのかなって。(3月末での債務超過を)何とかクリアしたとしても、その先どうなのかなというところが非常に不安。5年10年先はどうなのかなってところで、退職金のカットとか、そういうのもされてしまうと、将来設計が崩れてしまうので」
異例の事態が相次ぐ東芝。経営危機を切り抜ける道筋は描けるのだろうか。