新米金融記者「つみたてNISA」始めてみた!~人生初の投資にチャレンジ~
国の税金のあり方を初めて取材した2023年度の税制改正、焦点のひとつが「NISA=少額投資非課税制度」の抜本的な拡充だった。私と同じ20代の約5人に1人が口座を持っているというデータもある。(2020年6月末時点、金融庁統計より) 新米金融記者の私も投資を始めてみることにした。
(経済部 髙橋英礼奈)
■“口座開設”体験記
2023年度の税制改正が決着した週明け、取材で「NISA」制度に興味を持ったことから、入社2年目の私でも少額で投資できる「つみたてNISA」を始めることに決めた。
実は私は以前、「つみたてNISA」を始めようとしたことがあったが、これに関して苦い思い出がある。難しい説明や手続きなどが面倒になり、くじけてしまったのだ。しかし、今は金融記者だ。最近は若者を中心にウェブなどでの口座開設が人気だが、私は銀行窓口で手続きをすることにした。
「NISA=少額投資非課税制度」は、株式の売却益などが一定の範囲内で非課税となる優遇制度。対象が投資信託に限られる「つみたてNISA」と、国内外の上場株式などにも投資できる「一般NISA」がある。
どちらも現在は20歳から、2023年からは成人年齢引き下げに伴い18歳から利用可能で、どちらか1つ選んで運用できる制度になっている。
私はいろいろな疑問を持ちながら、手続きに向かった。「アプリに反映される口座は、いつできるのか?」「貯金もたくさんあるわけでもないのに、始めて大丈夫なのか。払えない月があったらどうなる?」「何歳になったら引き出せるのか?」不安な気持ちで窓口へ向かったものの、口座開設そのものはあっという間だった。
NISAだけではなく、iDeCoや生命保険など、ほかの商品の説明もされた。1つの説明が終わるごとに、「疑問点はありますか?」と聞いてくれる。丁寧な説明のおかげで、私の疑問も解決していく。
「私が口座開設した銀行なら、3日後から取引可能」「いつでも口座から下ろすことができる」「投資金額の変更や積み立て中止も可能。1週間前くらいに前もって手続きも可能。口座にお金が入っていなかったら、自動スキップもできる」ということがわかった。
今月はお金を使いすぎてしまって余裕がないという時は、個人の都合に合わせて運用ができるのが好都合だと思った。私の人生初の投資は2022年12月25日になった。
■口座はできた!
思ったより早くアプリの表示が変わっていて、ドキドキした。自分が選んだ銘柄が表示されている。証券会社や個人の承認状況によるということだが、思ったより早くスタートできそうと思った。
■今回の税制改正で「変わること」
NISAは、2023年度の税制改正で「つみたて」「一般」の両方に同じ口座で投資できるようになる。
「つみたて枠」の上限は今の3倍の120万円、「成長投資枠」(今の「一般」を移行)は今の2倍の240万円で、あわせて年間360万円まで積み立てることができるようになる。更に、非課税で保有できる期間は無期限となるという。
■100円、200円からも積み立て可能…?
新しい制度は2024年に始まる予定だ。私はさらに専門家にアドバイスを聞きに行った。
ニッセイ基礎研究所金融研究部主任研究員の前山裕亮さんはNISAについて、「長期投資」「忘れるくらいが一番いい」「買って寝かせるつもりで」と話してくれた。
2023年末までに一般NISA及びNISA制度で投資した商品は、新しい制度の外枠で利用が可能になる。「制度の新旧に限らず、NISAの投資額は100円でも200円でも良いので早く始めたほうがよい」という。
現行の制度口座を自動的に引き継げることで、少額から始めて、NISA自体のシステムに慣れることや投資を感覚としてつかむことが大事だということだ。
■投資は損失も起こりうる
使いやすくなるNISAだが、投資は損失が出る可能性もあることは忘れてはならない。そもそも利益が出ないとメリットを享受できない制度だ。
売買で利益が出ないと税金はかからないが、買った金融商品が値下がりしてしまえば、損失が残る。この損失の分をほかの口座での利益と合わせて税金処理(損益通算)したりできない点にも注意が必要だ。
■来年への展望
取材を通じて、投資は長期で考え、一喜一憂しないほうがいいことがわかった。若いうちに始めることができれば、家族やライフステージにあまり左右されず、投資体験をすることができるとも気づいた。
2023年の市場はどうなるだろうか。先行きは不透明だが、長期的な視点で「つみたてNISA」と向き合っていきたいと思っている。