「超高齢化社会の成長戦略」ポイントは?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「令和初の成長戦略」。日本テレビ報道局「news every.」の大野伸統括プロデューサーに聞いた。
政府は5日、未来投資会議で、成長戦略の実行計画案をとりまとめた。希望する人が70歳まで働ける制度案などが盛り込まれている。未来投資会議とは、首相を議長とし、関係閣僚や民間の有識者がメンバーとなり、国や地方の成長戦略を議論する会議で、毎年、この時期に「成長戦略」をとりまとめている。
――「成長戦略」とは安倍内閣で頻繁に使われている言葉ですよね。
はい、安倍内閣の掲げる経済政策、アベノミクスは「(1)大胆な金融緩和」「(2)経済対策を中心とする財政出動」「(3)成長戦略」なんです。最初の2本の矢は政府が主導して行うものです。しかし、「成長戦略」は民間企業や個人が力を発揮するための規制の見直しなどをするものです。
しかし、この3本目の矢はなかなか難しくて、あらゆる場で議論を重ねられています。経済成長のために官民が何をするのか、その政策をまとめたものが今回の成長戦略なんです。
――今回のポイントは?
いくつかありますが、「超高齢化社会をにらんだ成長戦略」に注目しています。そこで私のオピニオンは『高齢者が活動的になれる成長政策を!』です。昨日も名古屋で高齢者の交通事故が起きました。
どうしてなくならないのか、地方では80歳以上の方の自動車依存率が50%を超えていて、こうなると、車がない生活を現実的に考えにくいというのが実態なんです。そして、何よりも今は高齢者の方も元気だし、自由に動き回りたい。この会議ではこうした現実を踏まえた政策を提案しています。まず、「過疎地のマイカー有料輸送を拡大したり、容易にしていくこと」、あとは「タクシーの相乗り制度を2019年度中に整備すること」を掲げています。
これまでは、交通事業は企業が認可を受けて担うサービスだったものを、規制を緩和することでNPO法人などが、2種免許を持っていなくても講習を受けた人が自家用車での交通サービスを提供できるようになります。
さらにタクシーの相乗りをすすめることで1人当たりの利用料金は安くなり、事業者は利用者が増えることで売り上げが上がるということを狙っています。これまでは赤字の地方のバス事業に補助金、つまり税金を使って運行を続けていました。しかし、規制を緩和することで、税金を使わずに民間の力で高齢者も便利なサービスを生み出そうとしています。
一方で忘れてならないのは、安全性と経済性の両立です。少しの知恵と工夫で制度を変えることで、高齢者が安全に生き生き元気に暮らせる社会を目指して、それを成長戦略に盛り込んでいるわけです。あとはそれをどう実行していくのか、その段階で反対などもあると思いますが、そこをうまくやりきっていくのが今後のポイントだと思います。
■大野伸プロフィル
日本テレビ・報道局「news every.」統括プロデューサー。報道局では、経済部に10年在籍。大学院では公共政策を専攻し修士号を取得している。
【the SOCIAL opinionsより】